恐怖と曖昧さと沈黙と半分の真実の狭間で (2) 

当局側と住民の間にある溝は深い・・・と見えて
実はくっきりとした線引きがなかったりすることも。
というか実情はもっと混沌としたもののようです。


アルセの記事の続きです。




III. 地元自治体の苦悩と麻薬組織

会合の後、共同体の代表らはカフェ・マヤで昼食を取ることにした。
ポップ市長もこれに加わった。


市長の車にはカルロス・ムクとドミンゴ・チョクも同乗している。
3人は友人であり、スポークスマンであり、ネゴシエーターであり、
軍人時代の同僚であり、必要があればお互いに手助けをする関係である。


食堂のテーブルでは市が直面する問題についてもっと切実に話し合った。
サヤスチェ市でインディヘナとして初の市長となったロドリゴ・ポップは、
自身を「社会運動の一部」と呼ぶ。
ポップ自身も故郷を離れてここに住み着いた人物であり、
現在はCondeg(グアテマラ国内難民連絡調整会)の執行部のメンバーでもある。
サヤスチェの住民の41%はアルタ・ベラパスから追われて来た人々である。


テーブルにはCondegのコーディネーターであるサントス・チクもいた。
チクはキチェ出身であるが、やはり故郷を捨ててここに住み着いた。
チクは家族全員を失った後、EGP(貧民ゲリラ軍)に加わった経験を持つ。


チクは覚えていることを話してくれた。
「サン・ロマンの辺りに最初に住み着いたのは避難民だった。
 1991年に強制立ち退きが開始されたので、住民らは抵抗した。
 グアテマラシティで23日間に及ぶ抗議運動をした結果、土地を手に入れた。
 しかし、開発プロジェクトも能力養成もなかった上、
 土地を買おうとする人物が現れた。
 農民は土地をQ5,000で買ったが、Q50,000で買うと言うのだ」。


それから20年が経った現在、当時買われた土地の中には価値が10倍にもなったところもある。
パーム油の国際価格が上昇すると共に、
グアテマラで精製されるパーム油の輸出量も倍増していく。


そして予想通りのセリフが続く。
「政府は和平合意に定められた農地改革の実行に関心を持っていない。
 農民はいつまで経っても損をし続け、
 今では国際企業が土地を奪おうとしている。
 土地を売らなければ彼らの農場に取り囲まれ、
 重機や警備員に脅かされる毎日を送っている」。


チクは、カルロス・ムク、ドミンゴ・チョクも脅迫を受けていると話す。
「黙っていた方が身のためだ」
「ここには組織はいらない。面と向かって話すだけだ」
友人らは彼の言葉に黙って頷く。


「市長、会合で誰もアブラヤシについて話さなかったのはどうしてですか?」
「私は農民だしインディヘナだし、やっぱりアブラヤシに囲まれている。
 しかし、私は土地を売らなかったからと言って、嫌がらせをされているわけではない。
 彼らだけに責任があるわけではない。土地を売ってはいけないんだ」と弁護する。


「昔、プエブラ-パナマ計画が出てきた頃、
 ここにはダムが作られて土地は湖の底になる、価値がなくなるから売るべきだと言う人達がいた。
 農民はその言葉を信じて土地を売ってしまった。
 止めることができなかった、ここの人達は騙されたんだ」。


「グアテマラで貧乏人の土地をこれ以上買うなと企業に言えるのはどこの役所でしょうか」
と尋ねようとしたが、口をはさむ以前に次の言葉が続いた。
「彼らは土地を買い、重機を入れると溝を掘って水はそこに溜まるようにした。
 土地が干上がり、作物を作れなくなると農民は土地を売ってしまう」。


土地の入手方法については以前から噂のみならず告発も行われている。
市長は
「農場の土地の30%は圧力によって売却されたものだ」
とまで指摘している。


「つまり?」
「選択的農場購入。
 まず農場を一つ買う。次いでもう一つ、それからもう一つ。
 こうして4つ目は隔離され、アブラヤシの中に取り残され、
 農作には不向きな土地となる。
 彼らはどこをどうやって塞ぐかを選んでいる」。


誰もこれ以上は口を出そうとしない。
実際にそういう目にあった人を教えてほしいと粘ったがダメであった。


当紙はアブラヤシ生産業組合(Grepalma)の最高責任者スサナ・シエカビッサに
この点についてインタビューを試みた。
シエカビッサは事前にメールで質問を送るようにと連絡してきたが、
最終的にはインタビューにも応じなければ質問への回答も貰えなかった。


昼食に話を戻そう。


市長は常に2人の人物を従えている。
2人は体格もよく、武装した若者で、レストランの入り口を見張り、
どこに座るかを指示する。
ガードマンがいるにも関わらず、皆声を落として会話し、
常に周りのテーブルを気にしている。
ここは不信の地である。


「私には身の危険があるんだ。」
「どういうことです?」
「ここで働く者は誰でもリスクを負っている。
 自治体の権力の不在に慣れてしまったものだから、
 別の人間がやって来て、命令することを快く思わない。
 働かずに金を稼ぎたいと思っている奴らばかりだ」。


ポップが言っているのは前市長時の市職員、
つまりこのインタビューの直前に解雇された人達である。
ポップが市民活動家であった頃や選挙活動中に訴えていたような
共同体に対する圧力や脅迫について話したがらないのは明らかであった。
タバコを吸うかのように口に指を当てる仕草を何度もした。


麻薬組織について話すのは何も市長や自然保護担当当局だけではない。
オフレコながら、同地に駐留する軍人も同じような指摘をしている。


共同体の中に入っていくと、まず最新型のバイクが何台も通っていき、
きれいに色塗られた家が現れ、
軍人が通るのを見た若者らがさっと電話を取り上げる。
農作業をしたりアブラヤシの農場で働くよりも滑走路を造る方が5倍の稼ぎになるのだという。


市長らにこのことを聞いてみた。
ポップもチョクもムクも、何も聞いたことがないという。
話したくないのだ。


ポップは15年以上、土地の権利のために活動を続けてきた。
4度市長選に出馬した。
土地問題について話し合うために軍の施設を利用していることで疑問視されていることについても触れた。
「国軍は対話のファシリテーターに過ぎない。
 問題解決のためには市だけではなく、様々な機関の力が必要だ。
 様々な機関が、一つの方向を目指して進んでいく必要がある」。


現在のポップ戦略は社会変革である。
政府機関の力を一旦集結させ、その後共同体へ移管する。
「市長への支援を集めて、市長に好意的なグループを共同体で作りたい」、
ムクとチョクはそう言う。





[ 2012/10/22 06:00 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://guatebuena.blog108.fc2.com/tb.php/889-3c44cd46