恐怖と曖昧さと沈黙と半分の真実の狭間で (1) 

時々このブログでも取り上げているPlaza Públicaの
アルベルト・アルセも、サヤスチェを訪れた記事を書いています。


アルセは今年の1月にサヤスチェを訪れていますが、
2月からAP通信社でホンジュラスを担当するようになったためグアテマラを離れており、
この記事はアルセが書いたものをアレハンドラ・グティエレスが仕上げたと注釈が入っていますが、
アルセの署名入り記事で、6月12日にPlaza Públicaに掲載されています。


タイトルはSayaxché ambigüedad y medias verdades
訳すれば「サヤスチェ、曖昧さと半分の真実」、かなぁ・・・。


相変わらず文学的な表現があったりやたらと長かったりするので思いっきり端折ります。




I. 試験下の労働条件

アルセが訪れたのはサヤスチェのアロヨ・サンタ・マリアという共同体の跡。
ここにはかつてアルタ・ベラパスから逃れてきたケクチ族の35世帯が住んでいたが、
皆少しずつアブラヤシ農場に土地を売り、最後には誰もいなくなってしまった。
現在は倉庫として使われている建物は当時小学校だったもので、
中には湿気を帯びた当時の教科書などが残されていた。
2006年12月の指導書があったところを見ると、
2007年まではこの学校で授業が行われていたらしい。


この共同体から数キロ離れたところでNAISAの労働者らが家に帰るためにバスを待っていた。
「皆同じ仕事なのに給料が違うんだ」。
1人はQ1,046、もう1人はQ1,022、別の1人はQ946。
最低賃金をわずかながら上回ったり下回ったりする額である。
しかし、バイクに乗ったスーパーバイザーの姿が見えると共に皆押し黙ってしまった。


2011年初めにActionAidという国際NGOが出した報告書には
REPSA、Tikindustrias、NAISAの3社は労働者の権利を守っていないとして
サヤスチェ市のラ・セイバ地域の18の共同体の代表らが労働省へ告発を行ったことが記されている。
労働省はその告発について結論を出していないが、
同地域のアブラヤシ栽培を行う企業の調査を実施している。


労働省のペテン県事務所の担当官は
会社は労働者と労働契約を交わしていないこと、
会社が労働者らの賃金台帳を有していないこと、と言った違反があったと説明した。
またパルマ・デ・イシュカン社については担当官の立ち入りを認めさえしなかった。


フェリペ(24)はREPSAが所有するエル・ミラドール農場で働いている。
彼の仕事は農薬の散布だ。
クレラットという名前の物質を株の周りにまく(注:クレラットは殺鼠剤)。
「朝4時半に家を出て、5時か6時頃から3時まで働き通し。
 休日は週に1日だけ。祝日は関係ない。時には日曜日もないこともある」。


Grepalma(椰子生産者組合)は1万人の直接雇用があると言っているが、
労働省ではアブラヤシ部門の雇用契約は登録されていないと言っている。


フェリペは出来高払いで給料を得ている。
農薬散布一株当たりQ0.40である。
この日は80株くらいできたと言っていたが、それならQ35である。
日によってはQ80になる日もあればQ30の日もある。
最低賃金のQ63まで達する日はそう多くはない。
しかも素手で1日15キンタル(約675kg)の農薬をまくのである。


アルフレッド(47)は木の棒を持って泥の中を歩き、
落ちている実を一つずつ拾って袋の中に入れるのが仕事である。
彼は時間外手当を受け取ったことがないという。


他にも2人1組で木を切り倒している労働者もいた。
ブラジル製の重たい金属の棒を使う。
椰子を2度叩くと根っこが持ち上がるので
もう1度叩いてから根っこに棒を差し込んで持ち上げ、荷車まで運ぶ。
体力を使う厳しい仕事であるが、やはり出来高払いである。


マルティン(24)は収穫期に農場に住み込み
3週間休みなく働いて、数日間の休暇を貰っている。
1日に240株を切り倒すと言っているが、実際のところこの数字は不可能であろう。


労働者はケクチ語を話し、スペイン語が話せるものはわずかである。
彼らとの会話は困難なだけではなく、
給料や労働条件については誰も話したがらない。


II. 軍事基地での保護地域への不法侵入に関する交渉

エル・スビン北部特別軍事基地に行くためにはラ・パシオン川を渡らなければならない。
見張りをしているカイビル隊の兵士2人は見慣れない人物が近づいてくるとふっと姿を消す。


エル・スビン基地ではエル・ポソ・サン・ロマン自然保護地域の
自然破壊について話し合うための会合が開かれた。
出席者はサヤスチェ市長、自然保護審議会(Conap)地域事務所所長、警察、国軍と
ラ・セイバ地区の18共同体の農民らの代表である。


Conapは共同体の人々が自然保護地域に侵入し、
木を伐採して木材を売ったりトウモロコシの栽培をしている上、
違法行為として警察が逮捕しようとすると、住民らが逆に警官を捕らえてしまうと指摘する。


サヤスチェ市長のロドリゴ・ポップの主張はConapに近い。
住民は警官を捕らえるべきではないし、
伐採もやめるべきだと言う。


話し合いは何時間にも及ぶ。
農民らはケクチ語しか話さない。
共同体のリーダーであるカルロス・ムクとドミンゴ・チョクが通訳をする。
住民らはアブラヤシ企業が労働者の権利を侵害していると訴えている。


彼らの主張はシンプルである。
「今頃になって自然破壊だなどと言い出すのはどうしてだ。
 10年前にはサン・ロマンのことなど誰も気にしなかったではないか。
 あそこに最初に入り込んで家畜を飼い始めたのは金持ちだ。
 私達には食べ物がない。でも生き延びなければいけないんだ」。
彼らは土地を与えてくれるよう政府と話がしたいと主張する。


ポップ市長は「農民は自分の土地を売るべきではなかった」と言い
Conapのロルマン・エルナンデスは
「自然保護地域は土地問題を解決するためのものではない」と言う。
「かつて土地を受け取った農民らの多くが、その足で土地を売りに行ったではないか」と。


話し合いの後でもう少し詳しい話をオフレコで聞いた。
エルナンデスは農民らの被害者意識にうんざりしている。
「不法に土地を占拠する農民らはアブラヤシ企業や麻薬取引組織の先鋒として利用されている。
 可哀想な農民らがピックアップトラックに乗り、
 電気もあって、道を作るための重機や建設機械まで持っていたりする」。


会合は終わったが、怒りを隠そうとしない人も多かった。
農民らは内戦時代のことがあるので、軍事基地に入ることに恐怖を感じている。
「どうして基地に集まらないといけないんだ?
 80年代に基地に呼ばれた人は、二度とそこから出てこなかったじゃないか」。





[ 2012/10/19 06:00 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

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