繁栄するアブラヤシと蔑まれる先住民 

メキシコ生まれで現在はキューバを本拠にしているらしいオヤンタイ・イツァムナという記者さん(多分)が
先住民問題などを中心に扱っているペルーのSERVINDIというメディア
今年6月、サヤスチェのNAISAで農夫として働く男性にインタビューした記事を
まずは取り上げてみたいと思います。


サヤスチェにはNAISA (Nacional Agro Industrial:全国農産業株式会社)の他、
REPSA (Reforestadora de Palmas del Petén:ペテン椰子植林株式会社)、
Tikindustrias(ティキインダストリー株式会社)、
Palmas del Ixcán(イシュカン椰子株式会社)という4つの企業が
アブラヤシ農園の経営とパーム油やバイオディーゼルの生産を行っている模様。


記事のタイトルは
「Guatemala: La prosperidad de la palma africana y la degradación del indígena como en el s. XVI (グアテマラ:繁栄するアブラヤシと16世紀同様に蔑まれる先住民)」



イツァムナ氏はまず、グアテマラのパーム油の恐るべき生産効率に触れます。
パーム油の生産効率はヘクタール当たりの生産量で計るらしいのですが、
世界の平均がヘクタール当たり3.2トンなのに対し、グアテマラは5トンとか。
1.5倍以上の生産効率!!!


もっともこれはアブラヤシの栽培面積が急激に増えていることと無関係ではない模様。
なんと言っても2003年には31,000ヘクタールだったのが
2010年には90,000ヘクタールと約3倍という急成長産業。
年間1250億ドルの外貨を稼ぎ、
17,000人の雇用を、しかも仕事のない地方に創出しているスグレモノ産業。


という一面は確かにあるわけですが。
他方、
アブラヤシの栽培されている土地はインディヘナや農民から奪われたものであり
アブラヤシのプランテーションのために水源は枯れ、
生態系は破壊され、生物の多様性は姿を消してしまったのであります。
その土地が以前のような豊かな土地へ再生するためには4世紀という時間が必要だとか。


ミゲル・デ・アヒアというフランシスコ会の神父は
1563年に宣教師としてグアテマラを訪れ、数年間をグアテマラで過ごした後、
ペルーへ移ったようですが、そのデ・アヒアが17世書き残した記録には
その頃のグアテマラの様子が記録されています。


当時、毎週日曜日には成年に達した先住民が広場に集められ、
グループに分けられて様々な農場へ労働のために送られていました。
一ヶ月につき一週間(月曜日から土曜日まで)はこの労役につくことになっており、
それにより報酬を得て、その中から税金を納めることになっていたのですが、
行きと帰りに1日ずつかかる上、日曜日は教会へ行くことになっていたので
実質4日間の労働で、4レアルの収入を得、
そこから税として1レアルを支払わなければならなかったのです。


当時の物価では1レアルで鶏半匹程度が買えたそうですが、
賃金の支払いが遅れるだけならまだしも、
約束の額が支払われないということも多く、
病気になったり、監督に反抗した労働者は1銭も受け取れなかったのでありました。


更には、現金ではなく香辛料で支払われたり、
あるいは受け取った現金で彼らにとっては不必要な物を買わせるという行為も横行。
靴を履いてない人に絹のストッキング買わせてどうするんだ。。。


精神的、物質的な搾取や嫌がらせが続くものですから
やがて先住民は山の中へ逃げて行ったのですが、
信仰心篤い宣教師らが彼らの魂の行方を憂いて先住民を連れ戻したのでありました。。。


こうして先住民は死なない程度に生かされ、
土地を奪われた上に労働力を搾取され、わずかな稼ぎすら奪われていったのでした。
先住民の労働力こそが植民地経済を動かす歯車だったのであります。


時は流れて21世紀。


以下、NAISAで働くビセンテ・サキクに
通訳を通じて行われたインタビューとなります。



-名前と、どこでどんな仕事をしているのかを教えて下さい。

サヤスチェ市セモシャン村のビセンテ・サキク・コチュ、35歳で6人の子供がいます。
NAISAで農夫として働いています。
マチェテで雑草を刈り、一株当たり(およそ4平方メートル)Q0.50の収入を得ています。
半月で大体Q650の収入になります。
一日当たり、Q50稼げる日もありますが、頭を上げることもなく必死に働かないといけません。


カポラル(監督)は自分たちを休ませてくれません。
朝6時から午後2時まで、休む暇なしです。
カポラルの命じる仕事を終えられなければ、一日分の賃金が貰えません。
一日の仕事は150株から180株分ですが、カポラルの気分次第です。
その日の分を終えられなければ、賃金から差し引かれます。


病気になったり、作業中に怪我をしたら、家に帰されます。
薬をくれるわけではないし、仕事に出たともカウントされません。


この賃金では十分ではありませんが、他に仕事もありません。
私は6人の子供を養わないといけないのです。
賃金の引き上げやバスでの送迎、医薬品を求めて、もう3回も組合でストをしました。
今はトラックで通っていますが、まるで家畜のようです。
あまりに疲れていると、トラックを逃すこともあります。


-家を出るのは何時ですか?労働者は何人くらいいるんでしょうか?

トラックは朝4時にピックアップに来ます。
もっと遠くに住んでいると、2時とか3時だったりします。
NAISAの労働者は大体2000人くらいです。


仕事に使う道具と昼食は皆持参です。
会社では食べ物は支給されません。
休憩時間もありません。
作業時間が終わった後にトルティーヤとフリホールを食べ、
その後また2~3時間かけて帰宅します。
家に着いたら、薪を集めたりトウモロコシを刈り取ったり、できることをします。


毎日畑で働いています。
トウモロコシとフリホールを蒔く時期には1,2日休みを貰ったり、日曜日を使ったりします。


-会社のオーナーが誰かとか、アブラヤシで何を作ってるか、どこで売っているかを知っていますか?

オーナーが誰かは知りません。カポラルなら知っています。
一度だけフローレスで集会があった時にオーナーを見たことがあるだけです。
でもどんな人かは知らないし、何のために栽培しているのか、どこで売っているのかも知りません。
働かないといけないから働いているだけです。


私達が確実に知っていることと言えば、この土地は以前は祖父母のもので
トウモロコシとフリホールが栽培されていました。
今ではアブラヤシだけです。
私達は暗い、光のないところにいて、アブラヤシがどこへ行くのか、何の役に立つのかもしりません。


-あなた方の祖先と同様に、自分達の土地で搾取されていることをどう思われますか?

殺されているような気分です。
昔、私達の祖先は農場で、オーナーの命令で働いていました。
今も同じか、あの頃よりひどいです。
私はまだトウモロコシを育てることのできる土地を持っているので助かりますが。


会社が持っている巨大な土地は、農民自身が農場主に売却したものです。
土地を売った人たちは皆農夫として働き、トウモロコシやフリホールを買っています。


-カポラルは誰ですか?どこの人ですか?

カポラルは私達の共同体の人間です。
私達の近所の人間です。
勉強をして私達よりも少しばかりスペイン語が話せるので、雇用されたのです。


カポラルは労働者にその日の作業を指示します。
時には自分勝手に決まりを定め、横柄で、旦那の指示を超えた作業を私達にさせたりします。


スーパーバイザーはコバンから来ます。
カポラルは40~50人くらいで、カポラル1人当たり40人の農夫を監督します。
カポラルの上にはスーパーバイザーがいます。


-こういう生活環境の中で、子供たちには何を期待しますか?

日毎に人は土地を失い、会社は土地を得ています。


この会社は私達をこの県から追い出そうとしていることに気がつきました。
会社がこの県の持ち主みたいなものだからです。
ペテン県のもう半分くらいの土地を取得したという話です。
わずかに残されたミルパ(トウモロコシ畑)はアブラヤシに取り囲まれています。
サヤスチェは、町のほとんどすべての土地が買われてしまいました。
別の金持ちである牧畜家も、私達の土地を横取りしようとしています。
本当に迷惑なことです。
どうやって生きていったらいいのかわかりません。
私たちには戦って前進する以外に方法がありません。
法律は私たちにも権利があると言っていますが、ここでは私達には権利がありません。


私達の子供にも未来はありません。
唯一できるのは勉強させることです。
子供たちは成長しています。10年後のことはわかりません。
まだ生きていたら見ることができるでしょう。そうじゃなければ、神のみぞ知る、です。


[ 2012/10/17 06:00 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

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