トトニカパンの事件と民族の日 

10月4日にトトニカパン県の交通の要衝である
クアトロ・カミーノス付近で抗議の道路封鎖が行われると言うニュースが流れたのは
前日の10月3日のことでした。


何でもトトニカパンの48共同体の住民らが
憲法改正反対、
教員養成課程の改正反対、
電気代が高すぎる、
という3点について抗議するという趣旨の道路封鎖なんだそうで、
あれ、今度は土地要求じゃないのか、
それにしてもいやに政治的な要求・・・と思ったのを覚えています。


当日の4日は通告通り朝の5時頃から道路封鎖が行われました。
クアトロ・カミーノスには約500人、
そこからさほど遠くないアラスカ峠には3000人以上の住民が集まり、
車一台通さなかったものですから、
ついには15kmばかり車の列ができたと報道されています。


現場はパンアメリカンハイウェイの真っ只中。
グアテマラシティから西へ向って3時間ちょい、
ケツァルテナンゴへ向う途中にある峠道で、
もちろん普段から交通の多い場所です。


今年は大規模な道路封鎖はまだ行われていなかったと思うのですが、
就任以前から「道路封鎖には断固とした措置を取る」と言っていたオットー・ペレス大統領、
警官隊(日本の機動隊みたいな部隊)を派遣して集団を解散させようと試みます。
未だに事実関係をきちんと把握できていない私ですが、
軍隊は警官隊の後から派遣された・・・と理解しています。


催涙弾やトウガラシスプレーなどで群集を解散させようとした警官隊でしたが
住民らは一歩もひかず、逆に過激になっていった模様。
何がきっかけだったのかは未だに明らかになっていませんが、
軍人数名が持っていた小銃を発砲、死者8名と負傷者30数名を出す結果となりました。
更には兵士らを乗せてきたトラック等が破壊されるなどの物的被害もあり。


派遣された警官・兵士が何人だったのかは知りませんが
その場にいて発砲したらしい兵士は
「人々がやって来るのが見えた。
 上官の指示を待っていたが、既に上官はいなくなっていた。
 隊長がいなくなったので、自分達の身を守るために発砲した」
と言っています。


住民側は
「兵士を乗せたトラックがやって来るのを見た。
 兵士らはカービン銃や催涙弾で武装していた。
 私達は棒と石を持っているだけだった。
 私達は自分達の権利を守るために対話しようとしていただけだ」。
(10 月11日 Prensa Libre)


どっちもどっちだよな・・・。


石や棒はれっきとした武器。
大体、「話がしたいだけ」なら主要街道をふさぐのは理屈に合わないし、
道路封鎖をすると救急車すら通してもらえない。
それでいて「平和的抗議」とか言うのか・・・。


他方、一般市民相手に発砲しちゃう兵隊を擁する軍隊ってのも情けなさすぎる。
内戦時代の恐るべきグアテマラ軍のイメージがガラガラと崩壊してしてまったよ・・・。


もっとも、グアテマラは一群衆がある日突然犯罪者と目される人物を捕らえて
処刑してしまうというリンチ事件が多々ありますから、
その場にいた人の恐怖は想像できないわけではないです。


痛ましい事件の後、軍や政府への非難が集中したのにも私は若干違和感を感じます。
無論発砲は非難されるべきだし、裁かれるべきなのは事実で
10日、当時の司令官であった大佐を始めとして9人が逮捕されており、
刑事裁判が行われることになる見通しです。


違和感というのは、
例えばノーベル平和賞のリゴベルタ・メンチュさんとか、
事件の後「事実解明を」と乗り出してきた人たちのこと。
メンチュさんほどの人なら、普段から政府と先住民との間を繋ぐ役とかしてほしい・・・
と私は思うのですが、
そういう方面にはあまり興味ないらしく
(まあなんと言っても内戦に係ったと見なされる軍人が大統領ですからね)
こういうシチュエーションになると途端にしゃしゃり出てくる感が。


もちろんおっしゃることはごもっとも、100%正しいのですが
大統領選挙に候補として出るくらいの人なのだから、
敵失を利用して出てくるだけじゃだめでしょ・・・。


加えて、道路封鎖で憲法で保障されている「通行の自由」を侵害する側は無罪放免なのかとか、
救急車の通行を認めないのは人道に反するんじゃないのかとか、
リンチ事件なんかで加害側が裁かれることがないのはそれでいいのかとか、
「軍」を非難するのには止まるところのないリゴベルタさんが
同胞の過ちに目を塞ぐのは、「差別」なのではないかしら。


それとも、同胞のやることはすべて正義だと考えているのかもしれないし、
同胞の状況があまりに悲惨なので、あえて目を瞑らざるをえないのかもしれない。


まあリゴベルタさんが何をしようと実際のところはどうでもいいのですが、
先住民と非先住民の間の溝が段々深くなっているように感じるのは気になります。
先住民が自ら「弱者」であることを利用して世論、
特に国際世論に訴えるのは効果的と思うのですが、
一方で「悪役」にされてしまう非先住民は心理的に反発するわけで、
こういう出来事がある度にその溝は更に深くなっていくことに
軽く絶望・・・。


そんなことを考えるともなく考えてしまう10月12日は民族の日。
コロンブスが新大陸に到達した日です。
あの日から520年。
先住民にも非先住民にも、時だけは公平に流れたのですよね。


[ 2012/10/12 21:00 ] できごととか | TB(0) | CM(0)

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