中米の苦悩とか 

國枝すみれさんの「中南米の乱:第3部・グアテマラ、エルサルバドル編」
両国の内戦以降を簡潔にまとめており、読みやすい内容になっています。


ですが残念ながら軍や麻薬組織についての取り上げ方は表面的で
國枝さんが書かれるところの「中米の苦悩」は私にはわからなかった。
米国の「支配」が続くから中米は今も苦悩する、と言いたいのかもしれないけれど
実際の苦悩はそんなところにあるわけじゃない。


カイビル(記事中には複数形のカイビレスと書かれていますが)については、
元々は対ゲリラ戦用の特殊部隊であり、
過酷な環境下でサバイバルしながらゲリラを掃討するのが任務であったため、
子犬どころか人肉食をしたという噂もありましたからねぇ(真偽のほどは・・・?)。


國枝さんの記事中、まず、ん?と思うのはカイビル=国軍みたいに書かれていること。
それにオットー・ペレス大統領は確かにSOAの出身ですが、
年齢からしてもSOA卒業の年からしても、
「自ら体験した複数の軍事学校の粋を集めてカイビレスを作った」
という表記には無理があります。
オットーさんは1950年生まれでSOAを卒業したのが1985年、カイビル誕生は1974年。


また悪評高いSOAですが、幹部候補生だけを指導していたわけではなく、
士官候補生や技術者といった軍人も在籍しており、
「卒業生の多くが母国で左派弾圧に関与した」という表現も
まあ間違っていないのかもしれないけれど、正確さにも欠けると思います。
そう、対ゲリラ戦略コースや心理戦コース、諜報コースの他、
武器修理とか車両メカニックとか調理なんてのもあったわけです。
いや、アメリカやSOAを庇うのは本意ではないんですが(笑)。


そして犯罪取締りは警察力が担当すべき、
軍が警察力を担当するのは人権侵害につながる、という主張。


グアテマラではもっとも信頼されていない公権力の一つが警察です。
国軍に対する信頼は警察よりも上なのですよね。
身近にいて小金を巻き上げたりして悪さする警官よりも
遠くにいて何となく規律正しそうな軍人の方がイメージ良いというのは
都会にいる人間として納得できてしまいます。


また、和平合意に調印したアルバロ・アルスー政権の後、
大統領に当選したのは「悪名高い」エフライン・リオス・モント率いるFRGの
アルフォンソ・ポルティーヨでした。
FRGは首都圏では票を失ったものの、
内戦の激戦地域であった地方で軒並み票を伸ばし、
国会議員選挙でも同様の傾向が見られたわけですが、
もちろんこれは国の政治を憂慮した国民がFRGに投票したなんてわけはなくて
目の前にぶら下がったニンジンを見比べて、
より大きなニンジンをぶら下げていたFRGに投票しただけにすぎないのだろうと思っています。


そして左であったアルバロ・コロン大統領の後を継いだ現大統領は
軍人であったオットー・ペレス・モリーナ将軍その人。
左とか右とか人権とかいう雲の上の主張じゃなくて
目の前のニンジンの大きさで動くのがグアテマラですもん。


そう、中米の苦悩というのは実は
「どちらのニンジンがより大きいのだろう」という
卑近な苦悩なのだと私は思うのです。


わかりやすくていいよ・・・ね?


[ 2012/09/03 23:44 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://guatebuena.blog108.fc2.com/tb.php/873-5265441b