セリート・デル・カルメン II 

Cerrito del Carmen

セリート・デル・カルメンの一画にたたずむ像が一つ。
この方、名前をフアン・コルスといいます。
今日はこのフアン・コルスのお話を。




イタリア人のフアン・コルス(ってこの名前は全然イタリアっぽくないんですが)は
フランシスコ会第三会の修道僧でした。




突然ですが、いきなりここで用語の解説になります。


カトリック教会の修道会には男子会のみの修道会(たとえばイエズス会)、
女子のみの修道会(たとえば聖心会)もある一方で、
フランシスコ会のように男子会(第一会)、
女子会(第二会、フランシスコ会の場合はクララ会)、
そして在世修道者のための第三会を持つ修道会も存在します。


第一会と第二会がそれぞれ出家した修道者のためのものであるのと対象に
第三会は普通の家庭生活を営みながら、
その会の精神に従って生活することを希望する人たちのためのものです。




さてフアンさんは17世紀の初め頃にエルサレムへの巡礼を行い、
今度は、当時未開の地であった新大陸へ行って隠者となることを決意したのでありました。




・・・物好きな。




そうして港に向って西へ西へと移動中、
フアンはスペインのアビラという町を通ります。



アビラはカルメル会という修道会を改革した聖テレサ(1515-1582)を輩出した町です。


聖テレサと言っても、ピンと来る方はあまり多くないかもしれませんが、
ダン・ブラウン原作の「天使と悪魔」で
トム・ハンクス演じるラングドンがイルミナティを追い求めながらローマを駆け巡っていた時、
「火」のシンボルとして使われたサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会の像、
って言うとピン!と来る方もいらっしゃるかも。


ベルニーニ作の「聖テレサの法悦」という、アレです。
本当に見事な彫刻。
ローマはどこへ行っても美術品だらけでいいなぁ~。


えーと、何の話でしたっけ。




フアンが新大陸へ渡って
隠者として生活しようと考えていることを知ったカルメル会のシスター達は
聖テレサが亡くなる前に願っていたように、
カルメル山の聖母の像を彼の地に持って行ってくれるように頼みます。



カルメル山というのはイスラエルにある山で
預言者エリヤが祈りを捧げたところとも聖書に記されています。
この山に修道院を築いて暮らした修道者がカルメル会の起源ですが、
「カルメル山の聖母の修道会」というのが正式な名前で
カルメル山の聖母というのは多々ある聖母のタイトルの一つであります。
カルメンという名前もこのカルメル山の聖母から派生した名前ですよね。




フアンはその依頼を「合点承知」と快く引き受け、
どんなところに聖像を置くべきかとシスター達に尋ねます。
「それはマリア様が自分でお決めになられるわ」とシスターらしく雲を掴むようなご返答。
もっとも、聖テレサは「大きな町に置いてね」と言っていたのだそうで
聖テレサは「この像が置かれたところには大きな町ができるでしょう」と言っていたのだそうで、
その言葉を胸にフアンは聖像を抱えて船に乗り込むと、大海原へと旅立ったのでありました。
(間違いがあったので訂正しておきます)




Castillo de San Felipe

サン・フェリペ要塞。
あんまり関係ないけれど、
大西洋を渡ってやって来ると、こんな感じのところに着きますよ、ってことで。




35歳になったフアンは新大陸のグアテマラ総督領に上陸します。
現在のグアテマラシティのラス・バカス川のほとりに2つの洞窟があったのですが
1つを住居にし、もう1つに聖母像をまつって隠遁生活開始。
洞窟から出てくるのは年に2度お布施を貰いに回る時だけという
完全なヒッキー生活。


聖テレサの遺言の「大きな町」には程遠いド田舎だったラス・バカス川のほとりで、
土地の人たちも「何かうさんくさい男が住んでいる」と思いながらも
洞窟におかれた聖母像があまりにも見事だったこともあって
度々洞窟を訪れるようになります。


そうするとやっぱり皆、
「こげな粗末なところにマリア様置いとくわけにはいかね」
って思うわけですよね。
フアンの同意を得て礼拝所を建設し、
無事その中に納められたのでありました。


めでたし、めでたし。




話の中に出てくるカルメル山の聖母の聖像、
私は実物は見たことないのですが、写真はこちらで見られます。


そんなに美しい像か?と正直言って思っちゃいますけどね・・・。
(だって二重顎だし、四頭身だし)
ちなみに、冒頭の写真でフアンが手にしている箱の中に
この聖像が入っていたのだと思われます。
そう、小ぶりな像なのですよ。


ついでにもう一枚ペタリ。
さすがにフアン・コルスが来た頃のグアテマラの写真はありませんが、
これは1871年にセリートから撮った写真だそうです。
右の方にカテドラルが見えているけれど、なんとものんびりとした田舎で、
確かに牛がいても全然違和感ないような。


こんな時代もあったんですよねぇ。



[ 2012/08/22 23:46 ] 街角 | TB(0) | CM(0)

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