サッカーを通した教育-パトリス・ミレ 

2010年に起こった地震で首都のポルトー・プランスが壊滅的な被害を受け、未だに立ち直れないでいるハイチ。そのハイチで子供達のために活動する男性をCNN EspañolがHéroesで取り上げていたようです。年々涙腺が弱くなってきている私としてはこういう話はツボすぎて。

ラテンアメリカの最貧国であるハイチは地震の後、未だに電気も水も復旧しておらず、食糧さえ十分ではない状況と言われていますが、そんなところに蒔かれた種がやがて実ってくれるように願いつつ、ここにささっと日本語訳したものを。


パトリス・ミレ(49)は5年前悪性骨腫瘍で、母細胞の移植が唯一の治療方法だと診断された。

ミレはアメリカでこの移植手術を受けた。9ヶ月の治療の後腫瘍は消えたと診断され、2007年5月に家に帰った。そして彼はずっとやりたいと思っていたこと、ハイチの一番貧しい地区の子供達がもっと輝かしい未来を持てるよう手助けをし始めた。

「毎日のように悲惨な過去を持つたくさんの子供がやってきます。私は祖国のため、子供達のために何かいいことをしたいと思っていました。そこで『今がその時だ。もう失うものは何もないのだし』と決意したんです」。

その夏、ミエは建設用材を扱っていた商売をたたむと「絶えざる御助けの聖母財団(FONDAPS)」を設立、子供達をトラブルから遠ざけ、生活に役立つスキルを学ぶためにサッカーを利用するプログラムを始めた。「スポーツを通した教育」である。

「子供達には手をかけてやらないといけませんよね。サッカーは相手にボールを渡してボールを受けるスポーツです。チームワークや規律やスポーツマンシップが必要です。単にサッカーという以上に、人生と同じだと思うのです」。

ミレはポルトー・プランスで最も危険だとされるソリノの子供達に力を注いでいる。しかし、子供達を集めるためにその地区に入るのは危険であった。「妻はそこには行くなといいました。ギャングに殺されるからって。そこで『ベッドで死ぬよりは何かいいことをして死ぬ方がいいじゃないか』って言ったんですよ。」

最初こそは胡散臭い目で見られたが、やがて地区の住民から受け入れられるようになり、子供達がやって来るようになった。現在FONDAPSに来ている子供達は数百人に上る。

ハイチでは子供たちにサッカーを教えてくれるところはあまりなく、大会に参加するためには費用を支払わなければならない。ミレのプログラムでは、登録料、ユニフォーム、シューズ、練習はいずれも無料である。大会への参加登録料や交通費も財団が負担する。

「ゲットーの中にいる人間には外の世界を見ることができないんです。何とか希望を持てるようにしてやりたくて。彼らの人生にあるのは現実だけじゃないってことを示してやりたいんですよ」。

2010年1月にハイチ地震が起こる以前、ミレのプログラムは3つの地区で展開されるようになり、男子600人以上と女子150人以上が参加していた。しかし地震でソリノは崩壊しFONDAPSの活動も停止した。プログラムに参加していた男の子が1人亡くなり、多くの子供達やその家族が行方不明となった。

「地震は子供達の生活をもっと困難にしてしまいました。大半の子たちは今でもテント生活をしています。あらゆることのために闘わなければならない状態なのです」。

ミレが子供達にサッカーを教えていた3ヶ所のグラウンドの内2ヶ所にはテントがびっしり張られている。残る1つはポルトー・プランス郊外にあり、子供達が歩いて行くには遠すぎる。それにもかかわらず、9~17歳の子供たちが200人位が、一週間に5日行われる練習にやって来る。

「現在、ポルトー・プランスにはサッカー場が存在していないような状況です。子供にとってプレーすることは大切です。彼らが喜べるようにしてやりたい。子供時代を満喫させてやりたいんです」。

ミレは日曜日に試合を組むこともある。

「勝てば嬉しいし、たくさん練習したから勝てたんだって理解できます。それをわかってほしいんですよ。勝つこともあれば負けることもある、だけど、それが人生の勝者になる方法だってことをね」。

彼の「子供達」の多くは父親が不在だ。ミレが彼らにとっての父親であり教師である。練習の後、ミレは他のコーチや子供達と一緒におしゃべりをする。子供達の生活について話すことが多い。子供達に勉強することの大切さを何度も繰り返し、学校に必要なものを買うためのお金を自分の財布から出すことも度々ある。

「盗みはいけない。ギャングのメンバーになるのもいけません。子供達は自分たちにも何かできると知っています。子供達は自分自身を信頼することを知っているんです」。

基本的にFONDAPSは一人の人物のごく限られた資金力によって成り立っている。だからミレは子供達のために他の方法も探している。選手達は週に1回パスタや米やフリホール豆の配給を受け、家に持って帰る。また子供たちを練習に連れていけるようバスを手に入れようと物色もしている。いつの日か、グラウンドのある学校を経営し、音楽や美術のコースも開きたいというのが彼の夢だ。現在のプログラムを維持するだけでも大変なのに、モチベーションに欠けるようなことはない。

「子供達の喜ぶ顔を見るのが嬉しいんですよ。彼らがどんな苦労をしているか知っているから。サッカーが上達したり、生活が良くなったり、そういうのを見ることができるのはこの上ない幸せです」。

ジェフ・フォバン(11)にとって、ミエのプログラムは命綱である。地震で父親を失い、家族10人と一つのテントで生活している。フォバン一家はFONDAPSから貰う食料で生活しており、子供達の学費を提供しているのはミレである。「パトリスがいろいろと助けてくれた。彼は僕らのヒーローだよ」。

2009年、ミレの腫瘍が再発し、現在も薬で治療を続けている。アメリカで放射線治療を何週間にもわたって受けた後だというのに、体調はいいと話していた。ミレにとって腫瘍は逃れることのできない現実であるが、今は診断を受ける前よりも幸せだと言う。残された時間でできることはすべてやると決心しているのだ。

「人生のあらゆる瞬間が大切なのだと気がつきました。まだ死ぬことはできません。まだまだやることがあるんですから」。

CNN México - Los niños de Haití encuentran la esperanza en los campos de futbol
英語版はこちら



[ 2011/09/30 00:02 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

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