守衛所にいる人物 

ちょっとおもしろい新聞記事があったのでご紹介します。
4月17日付エル・ペリオディコ紙の「守衛所にいる人物(El hombre que está en la garita)」という記事。


グアテマラを訪れたことがある方ならきっと目にしているはずなのが
銃を構えた警備員。
首都圏ではそれこそ至るところに存在していますが
地方でも銀行を中心にショットガンを構えた人たちが立っています。
このグアテマラの成長産業兼警察だけではどうにもならない市民の安全を支えている人たちについて
内容をつまみながら、書きすすめます。


3月に内務省が「警官の10人に7人は貧困層、その内3人が極貧層」という発表をしておりまして
まあ、それはそんなもんかもな、という気がするのですが
その警官の月収はQ3,200。
現在のレートだと$400強くらいの収入になりまして
決して少ないとは思いませんが、ではこれで豊かな生活ができるか、と言われれば
さすがにちと厳しいかな、というレベル。
持ち家で夫婦2人ならともかく、子供がいればちときついだろう。
だから小遣い稼ぎに麻薬のネコババしたり恐喝まがいをしてみたり
更には人殺しにまで手を染める警官がいるんだよな、
て話は今回の主題じゃないので置いておいて。


貧困にあえぐらしい警官よりもさらに劣悪な待遇なのが民間の警備員。
彼らの月収は約Q2000。
貧しいと言う警官よりも更に低賃金なのがこの人たち。


この民間企業の警備員には2種類の人たちがいるそうです。
96年の和平合意に伴い、国軍兵士の削減が行われた際(66%が除隊)、
軍をクビになったもののその後手に職を得ることができず、
警備員となった人たち。


そしてもう一つは農村出身の人たち。
この中には農閑期だけ警備員として仕事をする
出稼ぎ警備員なんて人たちが多いんだそうです。
え、てことは雨季になるこの時期って、ひょっとして警備員不足なのか・・・。


元兵士だったペドロは7人の子を持つお父さん。
給料は月額Q1900(Q950ずつ月2回サラリーを受け取る)。
彼の妻は食べ物を売ってる(多分路上で簡単な食事類を売っていると思われる)共稼ぎ夫婦。
ペドロは小学校3年までしか修了しておらず、
軍隊で身につけたことと言えば銃を使うことくらい。
彼の夢は警備員じゃなくてボディーガードになり、
会社に雇われるのではなく、直接雇用主と契約すること。
そのためには自前のピストルが必要だけれど、とてもそんなお金が貯まらない・・・
という状況。


一応、法律では警備員になれるのは小学校卒、となっているけれど
守られていないのが現状。
需要がどんどん増加するのに供給が追いついていかないのです。


現在警備員の内35%が25歳未満。
グアテマラは銃の所持を認めている国ですが携帯できるのは25歳以上。
だけど警備会社の警備員については、ユニ着用時に限っては携帯可なんだとか。
この法律、現在警備員についても25歳未満は銃の携帯を不可にするべき、
という改正案検討されていまして、ひょっとしたら変わるかもしれない。
そうすれば学生のアルバイト(というか本業警備員で大学生がアルバイトなのかも)は減るかも?


また、仕事の環境もなかなかハード。
勤務先によってはずーーーっと外で立ちっぱなしのこともあるし、
24時間交代という勤務体制の場合もあったり。


もっとも、この24時間交代というのは本人が希望するケースも多々。
多分、倉庫なんかの見張りをする人たちがこういう勤務体制なのだと思うけれど
毎日自宅から通勤していては、バス代が余計にかかる。
24時間だったら寝る場所もあるし(仮眠所みたいな奴)、
今日来て明日帰ればいいんだからバス代も半額。
いくらグアテマラのバス代が安いとは言っても、
市内ならともかく、隣町からとか来てると1日Q5はかかるとしましょう。
すると週5日の勤務だとしてもQ100はかかるという計算で、
薄給の彼らにとってはかなり痛いというのは事実。
あ、交通費の支弁なんて、この国ではありませんから。


一般の警備員は会社まで通勤し、そこから会社の車で勤務先まで運ばれるというのが多い。
私も朝、警備員がはみ出したミニバスが通るのを時々見かけます。
なので勤務時間のかなり前に会社に行き、勤務時間を終えても車が来るまで帰れない。
そんなわけで、エルビスのように
「会社が交代の人を連れてきてくれなかったから2日半仕事しなくちゃならなかった」
なんてケースも出てきたりするのです。
日本だったら労基法違反でしょうが、ここでは勤務時間については制限なし。
それでも60時間寝る間もなし、って、そんな仕事してたら病気になる・・・。


原則持ち場を離れられない仕事なので、相方がいればよいけれど
単独の場合は食事を買いにも行けないし、
行けたとしても安月給では買いに行くお金もなかったり。
そんなわけで「芝生のスープ」なんて切ない昼食が登場することもあるのです。

そんなハードな警備員なのだけれど、じゃあ養成訓練はどうなっとるんだ!?
15日で一通りの訓練を終えるのが急行コース。
法律、人間関係、救急救命法、武器の取り扱い等といったことを学ぶらしい。


しかし、マルティンの場合は8日の特急コース。
「なんかね、場合によっては3日だけの超特急コースなんてのもあるらしいよ」
と話す彼、勤続3年で月給はQ930とか。
うーーーん、これ、法定の最低賃金よりも低いよな・・・・・・。


そういう様々な悪条件を耐え忍びながら勤務する人たちの正確な数は不明ながら
最低でも6万人いると言われています。
警察官の数は現在22,308人だけれど、774人が休職中、3,407人が事務職で
外に出て勤務する警察官は18,127人。3交代勤務です。
グアテマラ人717人につき警察官1人という計算になるんだそうで
その割には首都ではまとめてたくさん見かけるよな、という気はするのだけれど
それでも圧倒的に数が足りていないのか能力が足りていないのか、
そういう次第だからグアテマラ=危険!という現状になっているのでありまして
その警察官と犯罪者の間で身をボロボロにしながら働いてくれているのが
こういう警備員、ということなのでしょう。


UNDPの統計によりますと、2006年の警察予算というのは2.5億、
一方、民間の警備会社の売上総額というのは$5.7億だったそうです。
現在は多分どちらももっと金額大きくなってると思いますが
こんなものでも成長産業がある方が、経済的には良いのかしらん・・・・・・、
それとも国内の治安が良くなって、警備産業が廃れるほうが
国民にとってはいいのかしらん・・・、となかなか悩ましいところなのであります。


[ 2010/04/17 23:59 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

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