ローセンベルグ事件の顛末 

昨日ハイチで起こった大地震はアメリカ大陸最大の地震とかいう話ですが
普段はあまり地震の多くないカリブにいきなりこんな大地震がやってくるとは。
亡くなられた方が10万人を越えるのではないかと言われていますが、
無事だった方々にとっても辛い日々になるでしょう・・・。


グアテマラでも今日小さな地震があったようですが、
こういう小さな地震でガス抜きして頂ける方がホント、助かる。
ちなみにグアテマラもハイチに支援物資を送り届けるそうです。
政府はハイチのための援助受付窓口を開いていますが・・・、
それより国内の人たちを助けてやれよ(とつい言いたくなる)。


さて、グアテマラ国内の方に目を向けますと、
やはり昨日、CICIG(グアテマラの無処罰問題対策委員会)が
ローセンベルグ事件について最終報告を行っております。


ご記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、
昨年の5月10日に殺害されたロドリゴ・ローセンベルグ、
死後に自分の死を予告したビデオが公開され、
しかも大統領、大統領夫人らを告発していたから
グアテマラ中がてんやわんやの大騒ぎになってしまったのでありました。


そしてその最終報告というのがまた
「ローセンベルグ自身が自らの死を計画した」という天地が引っ繰り返るようなもの。


かいつまんでここに取り上げてみたいと思いますが、
その前に、昨年12月でしたか、この事件の実行犯グループが逮捕されており、
実行犯グループに指示を行ったとして2人の人物が指名手配されてる状況だ、
ってことをお含みおき下さい。
また、ローセンベルグの事件に先立って
カリル・ムサとマージョリー・ムサの親子が殺害される事件があったことも
思い出しておいてくださいね。





事件当時、ローセンベルグは母親を亡くし、
2番目の妻と離婚し、子供達の親権も失うという状況にありましたが、
それに追い討ちをかけたのがムサ親子の殺人事件。


ローセンベルグはマージョリーと恋愛関係にあり、
カリルにはデリケートな件の相談を受けていたことから
2人が殺されたのは自分のせいだと思い詰め、
精神的に追い詰められていたのでありました。


彼は事件の真相を究明しようと奔走します。
しかし、いささかの情報は得られたものの
証拠といえるようなものを掴むことはできず、
そういう状況にも絶望していたのでありました。


そうして彼は一つの計画を思いつきます。
最初の妻の従兄弟であり仲の良い友人であるバルデス・パイス兄弟に
「脅されているので、殺したい奴がいるんだ」と相談。
そうしてこの2人はローセンベルグに殺し屋一味を紹介します。


そのためにお抱え運転手に携帯電話を2つ買わせに行っています。
この2つの携帯電話、使われたのは5月5日から10日の間だけでした。
この2つの携帯のうち1つがバルデス・パイス兄弟経由で殺し屋グループの手にわたり、
もう1つはローセンベルグが自分が脅迫を受けていると偽装するために使われたのだとか。
使用された場所は彼のアパートであったこともわかっています。
こうしてお膳立てが整ったところで、
バルデス・パイス兄弟は殺し屋グループにQ30万を前金払い。


5月13日、パナマから$4万(Q32万ほど)の小切手が届きます。
小切手の振出人は大統領府の官房長官ルイス・アレホス。
ローセンベルグの秘書が受け取っておりますが、
これはバルデス・パイス兄弟に渡すようにと指示されており、
その通り実施。ただし、小切手は現金化されておりません。


さてローセンベルグは他の友人たちにも脅迫を受けていると話しておりました。
そして例のビデオも撮影し、準備完了。


5月10日の朝。家を出る前に、カリルのもう一人の娘であるアシサに
「ストレス発散のために一回りしてくるよ」と電話で話していたとか。
その電話を終えて外に出たところで自分が雇った一味により殺害されたのであります。






実はこの説、かなり以前からネットには流れておりました。
私が見たのは7月か8月頃でしたか。
「ローセンベルグの携帯にはマージョリーとのSMSがたくさん残されていた。
奴はマージョリーと愛人関係にあって、
愛人が殺されたから絶望して死んだって説が有力だ」という内容でした。


自殺にしてはいかにも回りくどいし、
自分の親友を巻き込んでしまう辺りはちょっとどうかしらんと思うわけですが、
Cicigもその仮説を裏付けるのに6ヶ月をかけたのだそうです。


Cicigのカルロス・カストレサナは報告に際し、
それでもローセンベルグは名誉ある人物であった、
様々な問題に直面しながらも、
彼はビデオで述べたことを事実だと信じており、
その信念に基づいて行動を起こしたのだから、と言っていました。


そしてまた、ローセンベルグ事件に関連して、
当時内相だったサルバドル・ガンダラが
偽証人を仕立てて証言させた話なんかもあったわけですが・・・、
その話はまた別立てにした方がおもしろいかも。


実は今朝のラジオの対談にこのカストレサナが出演していたのですが、
この時彼はローセンベルグ事件に関連して、こんな話もしていました。


この国のシステムを改善するために当局に対し12の要望や提案を行っているのに
当局が何もしない。
例えばCicigや判事に対し防弾車やガードマンを依頼してもつけてくれないし、
国会は治安に関する法案を取り上げる気もないし、
裁判所は裁判所でその職務にふさわしくない人物を最高裁に任命するし。


グアテマラ人は自らどんな国にしたいのかを考えないといけない、
この国の治安は最低で、
首都を含むグアテマラ県の人口100万人10万人に対する殺人件数は90人、
これは世界トップクラスの殺人件数になるのだそうです。


そういう話をまとめて考えてみますと、
ローセンベルグがこの狂言を仕組んだのは
一方で絶望と無力感があり、
そのもう一方でムサ親子の死の真相を究明し
犯人に責任を取らせるためにはこうするしかないと
思い詰めるに至ったのではないかしらん、と思うわけです。


彼は本当に大統領や夫人がその背後にいると思ったわけでしょう。
でも自分には何もできないし、このままでは一切が明らかにされないままになる。
それなら自分の遺言をビデオに残し、自分は殺され、
その後でそのビデオを世に公開すれば・・・・・・。
大統領を糾弾すれば、彼自らがCicigに真相究明を依頼するだろう。
でも、自分の事件を明らかにしようとすれば、
ムサ親子の殺人事件についても調べなければならなくなるだろう・・・。


そしてその通りとなりました。
Cicigは今後、ムサ事件について人員を強化すると言っています。

ただ、割り切れない思いでいるのは
あの事件の後、彼の言葉を信じて集まった人たち。
裏切られたような気がしても不思議じゃないですよね。
それを乗り越えて、より良いグアテマラのために活動を続けることができるか。
捜査の行方とともに気になるところです。



[ 2010/01/13 22:58 ] ローセンベルグ事件 | TB(0) | CM(2)

monjablancaさんは、グアテマラがほんとに好きなんですね。苦難を乗り越え、より良いグアテマラ。

世界中、新しい世界への膿だしと、生みの苦しみがあるですね。その土地の一人一人の、住んでいるところと、人への、育てる愛と慈しむ思いが肝心ですね。
[ 2010/01/14 18:31 ] [ 編集 ]

>いのりさん

うーむ、良くなってくれると思いたい・・・。本当に。
でも残念ながらそう楽観できないのは、
政治家にも、この国の富を握るオリガルキーにも
国を良くするためにこうしよう、という
知恵もやる気もないから(少なくともそう見える)なんですが。


これは私の持論ですけれど、
中産階級が成長する国はどんどん伸びるけれど
そうじゃない国(今のラ米諸国は左傾化しているので中産階級が痩せ細りしている状態)は
大きく成長することはできないんじゃないかなぁ、と。


グアテマラも現在の政権は中産階級を圧迫し
貧困層に金をばら撒くという
一番やってはいけないことをやってるように思います。
中産階級から一歩落ちればそこは貧困層、てなわけで、
貧困層を増やすつもりなんですかね?


そう言えば最近の日本の政治って
ラ米でよく見られるポピュリズム的政治に似てるよなって思うこの頃だったりいたします。
[ 2010/01/20 00:15 ] [ 編集 ]

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