アルベンスとセラヤ 

ホンジュラス情勢はその後大した進展もなく、
ミチェレッティ政権は諸外国の思惑など気にせず不惑を貫くらしいし、
さ迷えるセラヤの方はあいかわらずラテンアメリカを流浪の旅。
案外いいご身分だよなぁ~、という気がするのは多分私の気のせいなんでしょうが
最近はセラヤも積極的に戻ろうという気を見せていないのは
案外その流浪生活が身にあっているからなのではないかしら。


とまあそんな話はどうでもいいんですが、
今朝の新聞のコラムに「アルベンスからセラヤへ」と題した
ちょっとおもしろい記事があったので紹介してみます。


このコラムも別の記事を引用しておりまして
元記事はニコラス・コスロフ(Nikolas Kosloff)という人物によるもの。
この方、どうやらアメリカ(北・中・南)の政治ウォッチャーか
政治評論家か、どうやらそういう類の方の模様。
名前からすれば、ロシア方面なのかもしれません。


当地のプレンサ・リブレ紙に書いているのはマルガリータ・カレーラ。
記事はこちらです。



解説を入れながらかいつまんでみるとこんな話になりますか。


ハコボ・アルベンスは1951年にグアテマラ大統領に就任、
軍人出身でありながら共産党系のグアテマラ労働党党員となり、
アメリカ大陸の左傾化に神経を尖らせていたアメリカの介入によるクーデターで
1954年6月27日に失脚、亡命先のメキシコで1971年に亡くなっています。


アルベンスが行った政策の中でも有名なものが農地改革。
大土地所有者の土地を接収し、土地を持たない農民に与えようというもの。
ところが当時(今も?)はユナイテッド・フルーツ・カンパニー(UFC)が
グアテマラ国内、特にイサバル県を中心に大規模な土地を持っており、
この法律が施行されると大打撃を受ける結果となったのは火を見るよりも明らか。


そんなわけでこのUFC、アメリカ議会を動かし、大統領にも働きかけ、
アルベンス失脚のための工作を行うのです。
ここまでが過去の歴史のおさらい。


さて、コスロフはこのアルベンスとセラヤの共通点に着目します。
どちらも右寄りと思われていた人物だったのに
急激に左旋回して行ったこと、
どちらもアメリカのバナナ会社との軋轢を抱えていたこと。


アルベンスがUFCならセラヤはチキータ。
とは言え、実はこれ、どちらも同じ会社のことでして、
1969年、UFCはパパ・ブッシュと縁のある会社に買い取られ、
名前をチキータに改めたんだとか。


でそのチキータ、ホンジュラスにもやはり大規模な土地を有しております。
ホンジュラスの面積は112千平方キロだそうですが、
チキータがそこに抱える土地は2,630平方キロ。
国土の2.3%がチキータのもの、という計算になります。


日本に置き換えてみれば8,690平方キロ。
都道府県に置き換えてみると、広島県の面積が8,477平方キロ(全国で第11位)なんだそうで、
広島県まるまるが私企業の持ち物になっている、ってことか。そりゃすごい。


ちなみにホンジュラスのカリブ海側にはジャングル地帯も大きく広がっており、
耕作に適した土地というのは実はかなり少ないのだそうです。
その耕作適地の1/4がチキータの土地。いやそれ、マジですか?
そりやもちろん、雇用もしてくれれば輸出も担ってくれるわけではありますが、
耕す土地のない農民が続出してもおかしくない・・・。
そこでセラヤはその土地を取り上げることを目論んだらしい。


またセラヤは最低賃金を引き上げており、
これもチキータの不興を買ったとか。


またチキータに対しては労働者に過酷な勤務を強いているとか
労働者が殺されたとか、
いろいろと穏やかならない噂もあったらしい。


ただし、チキータはもちろんホンジュラス国内に多々影響を持っているわけで、
今までのところはそういう噂もうやむやになっているようですけれどもね。


さて。
私はセラヤの政策がどうだったという話についてはチンプンカンプンです。
農地改革にしても法律ができているわけではないようですし、
やるとすれば再選後に、ってな話だったんじゃないでしょうか。


最低賃金なんて、物価が上昇する以上程度の差こそあれ
毎年上がるのはアタリマエ。
新しく手当てがついたとかそういう話ならともかく、
これくらいの人気取り政策は、セラヤならずともやっていたはず。


そういうわけで、アルベンスとセラヤを並べるのはおもしろいけれど
この二人を同列に並べちゃちとまずいでしょ、という気がいたします。


アルベンスについては、現在ではその先鋭さを評価されているわけですが
時代の流れを読みきれず、急進的に走りすぎてクーデターを招き、
やがてはそれが内戦の誘因ともなった、ということを考えるなら、
為政者としては不適格だったのだと私は思います。


セラヤについても、許された法律の範疇でやるべきことを
その範囲を大きくはみ出し、政敵に付入る隙を与え、
国民を混乱に巻き込んでしまうなど、
一国の元首としてあるまじき行為だと思うのです。


「大統領失格/時代を読み間違えた大統領たち」てな風にまとめるのなら
それもアリかな、と。
いやそれでもアルベンスとセラヤを並べるのは止めてほしいと思う私は
サッカーができそうなくらい広い、アルベンスの額が好きなんですが。


さてその一方で、ホンジュラスに対して沈黙を守り続けるアメリカ。
チキータが絡んでいるという話がどこまで本当なのか良くわかりませんが
こういう見方もあるのだなぁ、と面白く読んだのでありました。



[ 2009/08/20 23:51 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(0)

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