ロドリゴ・レイローサ「人間の材料」 

小僧のブログを覘いて下さった皆さん、ありがとうございます。
小僧は気になって仕方がなかったようで、
何度も何度も自分のブログを覘いてみてはカウンターを上げていましたが、
それでも早3桁に到達したようで、これには私もびっくり。
てか、負けてるんですけれど、私・・・・・・。どーするんだ。


親と子で一対一対応している我が家の場合、
つい張り合ってしまったりするわけですが、
子供相手に張り合ってどーする。って気もちょっとするかも・・・。





書店でロドリゴ・レイローサの
El material humano(エル・マテリアル・ウマーノ/人間の材料)を見つけ、
思わず買ったのが確か2週間ちょっと前。


ロドリゴ・レイローサ(Rodrigo Rey Rosa)はグアテマラ人の作家で、
現代の作家の中では多分一番世界的に名を知られた人ではないかしら?
代表作にはLa Orilla Africana(ラ・オリーヤ・アフリカーナ/アフリカの海岸)がありますが、
私は未読。かなり前から探してるんですが、どこにもないのですよ・・・。


日本語訳された作品もいくつかあるので、
興味関心のある方はAmazonなどで検索して頂けたら、と思うわけですが、
今日ここで書きたいのは先ほどの新刊の方。


私はレイローサを読むのはこれが4作目なのですが、
この作品には
「そんな風には見えないかもしれないが、
 そんな風にはとても見えないかもしれないが、
 これはフィクションである」
と言う前置きがある通り、誰もが知っている事実が登場しており、
事実とフィクションがどの辺りで溶け合っているのか、
私には想像もつきません。


主人公は作家自身と思われるわけですが、
この主人公が「アルチーボ(アーカイブ)」と呼ばれるところで
過去の資料について調査するところから物語は始まります。


このアルチーボ、内戦時代に旧警察(PN)が貯めた書類のことでして
保管、分類、整理、保存することを目的に
2005年から警察の歴史的資料整理プロジェクトってのが行われておりまして、
実際にこの資料から過去の失踪事件に係わる書類が見つかったりしているわけですが・・・。


さて、主人公は作家でして、資料を調べるのは本を書くため。
そうしていろんな資料に突き当たり、関係者に連絡を取ったりする内に
ある日突然、プロジェクトへの出入りを差し止められてしまいます。


これ以降、少しずつ暗い影が忍び込み始め、
いつの間にか通奏低音でもあるかのようにずっしりと響いていくようになりのですが・・・。


彼の母親は内戦時代に誘拐され、
6ヶ月後に身代金を支払って解放されたことがあったのでした。
当時は官憲によるものではないかと思われたこの事件が、
後にゲリラが実行したものであったことが明らかとなり、
彼はアルチーボそのものへの興味もさることながら、
母の誘拐事件を解明できる資料も探していたのでした。


プロジェクトの職員の中には誘拐事件に係わったと見られる人物もおり、
不審な電話もあり、少しずつ緊張が張りつまって行くのですが
姪っ子(?)のピアの無邪気な洞察力に救われる形で終わる・・・、
いや、救われていないのかもしれないけれど。


レイローサの小説って、中盤の読ませる力は凄いのですが
最後の最後で破綻することが時々あって、
これもどうなるのかなぁ・・・、と思ったら、うーむ、そう来たか、みたいな。


それにしても、本名で登場する人が多々、
また仮名で登場する人たちも。
本名での登場人物の中にはウーリ・ステルスネル(Uli Stelzner)というドイツ人がいるのですが、
この人は作中にある通り、La Isla(ラ・イスラ/島)というタイトルで
このアルチーボのあるオフィスを扱ったドキュメンタリーを制作中とか。
2009年末には完成するそうですが、さてさてここでも見られるのかな・・・・・・。


ちなみにアルチーボの資料プロジェクトについてはこんなサイトがあったりします。
多分やがてデータベース化してくれるらしい。


さてレイローサのこの作品、何と評して良いのやら。
ここに住む私としては、余りにも生々しく、空恐ろしく、
見たくなかった深淵をふと垣間見てしまったような、そんな気がするのですが
そうじゃない方にとっては退屈な話に思えるかもしれません。


それにしても、この諸行無常な無力感は何。
レイローサに付き物の暗さではあるのですが、
実際に起きたエピソードが散りばめられているだけに
他の作品よりも陰影の濃い作品に仕上がっていると思いました。
てなわけで星は4つ。★★★★☆


邦訳がでたら、グアテマラに関心のある方には是非読んで頂きたい作品ではあります。


[ 2009/07/13 23:51 ] | TB(0) | CM(0)

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