スキャンダル 

前編


後編



「こんにちは、私の名前はロドリゴ・ローゼンベルグ・マルサノです。
 残念ながら、あなたが今このメッセージを見ているということは、
 私は殺されたということです。
 グスタボ・アレホスとグレゴリオ・バルデスの手を借りて
 アルバロ・コロン大統領が私を殺害したのです」。


まるで映画のような出だしで始まるこのビデオ、
ネットに登場したのは今日の午後2時半頃という話ですが、
その後、あっという間に広がり、
新型インフルエンザどころじゃない騒ぎとなっています。


というのもこのローゼンベルグ、実際に昨日の朝殺されたからなのです。
ローゼンベルグはグアテマラシティーの弁護士事務所の共同経営者の一人で、
10日、いつもの通りマウンテンバイクで一走りに行ったところ、
つけてきた車にいた人物に頭部を撃たれて亡くなったという話です。
殺害現場は我が家からも近く、小僧のスクールバスの通る道。
怖いなぁ、とは思いながらも、まあ日常茶飯事ですからね。
殺人事件そのものについては、それほど驚くわけではありません。


しかし、このビデオには吃驚仰天。
5月7日に録画されたらしいこのビデオ、長さは18分。
そこに込められたメッセージというのは、
「私が殺されたとしたらその犯人は
 大統領の私設秘書であるグスタボ・アレホスと
 その仲間のグレゴリオ・バルデスであり、
 それを許可したのはアルバロ・コロン大統領と
 妻のサンドラ・デ・コロンである。」


「なぜなら、私は先日殺害された
 カリル・ムサと彼の娘マージョリーの弁護士であり、
 この4人が2人を殺害した犯人であるからである。
 私はこれを彼ら自身に知らしめ、私のメッセージを聞く耳を持つものに知らせる」。


えーーー、話がややこしくなってくるのでかいつまんで申し上げますと、
ムサは4月14日に娘さんと一緒に車に乗っていたところを殺された・・・と記憶しています。


ローゼンベルグによれば、
アレホスとバルデス(建築業者らしい)はムサに
Banrural(バンルラル、銀行)の名誉執行役員にならないかと持ちかけたらしい。
ムサはそれに応じ、書類にサインしたものの、
2人はムサの名前を利用しただけで、実際に役職につける気はなかったとか。
ムサはBanruralの頭取であるフェルナンド・ペーニャが
サンドラ・デ・コロンの言うがままにありもしないプロジェクトをでっちあげて
金を融通していたことに気づき、告発しようと準備していた。
だからコロンらは二人を殺したのだ。


という話のようです。


ローゼンベルグはムサの弁護士として、
実際に問題解決に係わったわけでしょうから
ビデオには出てきていない証拠を持っている可能性もありますが、
このビデオだけでは強力な証拠にはならないですよね・・・。


だけど一方、このダイイングメッセージはものすごく重い。
「死せる孔明、生ける仲達を走らせる」じゃないけれど、
政府というか、大統領もとにかく泡を食らったらしくて
今日は大統領はマスコミの前に姿を現していません。
アレホスはテレビに「証拠なんかどこにもないじゃないか」
と言ってたようですが(ちらりとしか見られなかったのでよくわからない)。
(あ、何だか、大統領がテレビでメッセージ出すみたいです。
 もう10時半なんですけれど、何時に流すつもりなんでしょうね?)


エル・ペリオディコという新聞のWebサイトにも
このビデオとローゼンベルグが残した書面が載せられているのですが、
このサイト、読者のメッセージが寄せられるようになっていますが、
いつになく書き込みが多くて、今現在で早229件。
こんなにたくさんのメッセージが寄せられたの、私は見たことありません。
さすがに全部は読みきれないな・・・。


中には「もうクーデターしかない!」なんて過激な意見もありますが、
マルティン・ニーメラーの説教を引用していらっしゃる方の、
この静かな凛とした佇まいに一番共感を覚えたので、
ニーメラーの詩のような説教を引用して終えたいと思います。
とりあえず今日のところは。


ナチスが共産主義者を連れ去った時
私は沈黙を守った、
私は共産主義者ではなかったから。


社会民主主義者を捕らえていた時
私は沈黙を守った、
私は社会民主主義者ではなかったから。


労働組合員を捜していた時
私は抗議しなかった、
私は労働組合員ではなかったから。


ユダヤ人を捕まえにきた時
私は抗議しなかった、
私はユダヤ人ではなかったから。


私を捕らえに来た時、
私のために抗議してくれる人はもう誰もいなかった。




【追記】
国外メディアにも取り上げられ始めたようなので、BBCをリンクしておきます。
Lawyer accuses Guatemala leader(英語)
"Fui asesinado por el señor Alvaro Colom"(スペイン語)


[ 2009/05/11 22:27 ] ローセンベルグ事件 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://guatebuena.blog108.fc2.com/tb.php/612-c85ffd14