ビクトル・リベラのこと - エルサルバドル時代 

リベラの殺害を実行したのが誰なのか、今のところは不明です。
多くの危険な人物・組織を敵にしていたのは事実ですが、
なぜこのタイミングで殺害が実行されたのかも不明です。


リベラは更迭が決まった後、大統領への最終報告書を作成していたと言われ、
今後は事件の捜査に直接係わることはありませんでしたから、
素直に考えれば、復讐ではありますが・・・・・・。


もっとも、今日は事件そのものについてではなく、
ビクトル・リベラ(Víctor Rivera)という人の方に焦点をあててみたいと思います。
リベラについては、あまり公で語られることもなければ、
違法行為に係わっているのではないか、という指摘もある一方、
グアテマラやエルサルバドルの一番暗い闇を知る人物でもありましたから。


ベネズエラ人のリベラ、亡くなられた時は62歳でした。
ベネズエラで警察官としてこの分野に足を踏み入れ、
やがて組織犯罪捜査班ができた時には、班長?課長?隊長?まあなんでもいいですけれど
その部門のトップになっております。
CIAの情報提供者でもあったとか。


1983年にエルサルバドルへ。
1980年に内戦が勃発したエルサルバドル、
この時期は政治的理由による誘拐や暗殺の多かった時代でした。
当時の大統領はナポレオン・ドゥアルテで、
ベネズエラとの捜査協力協定の成立を受けて派遣されてきたのがリベラ。
この時期、リベラは「サカリアス」といコードネームを名乗り、
警官の教育・訓練に携わりながら
オスカル・アルヌルフォ・ロメロ大司教が暗殺された事件
財界人らが誘拐された事件等の捜査に係わっておりました。


そしてこれらの事件が左翼ゲリラ(FMLN)によるものではない、
ということを明らかにしたのもリベラでした。
ロベルト・ダビッソン少佐(Roberto d'Abuisson)と言えば、
当時のエルサルバドルでは泣く子も黙る絶大な権力を誇った人物。
84年の大統領選挙ではドゥアルテに負けて大統領にはなれなかったものの、
軍隊はもちろん、様々な得体の知れないグループを率いており、
誘拐、暗殺、何でもやり放題。
リベラの捜査のすべてはダビッソンにつながって行き、
身の危険を感じたリベラはエルサルバドルを去ってベネズエラに戻ります。


ダビッソンは1992年2月20日に癌で亡くなり、
「サカリアス」もその年にエルサルバドルへと帰ってきます。
この時は政府ではなく、財界の有力者からの熱心な招聘によるものだったとか。
誘拐被害にあった財界人らの相談役となり、
ウーゴ・バレーラ(Hugo Barrera)が内務省長官に就任した後は、
バレーラの顧問にも就任しています。


1995年。
アドリアーノ・ビラノバ(Adriano Vilanova)という医学部生が殺害されるという事件が起こります。
バレーラはこの事件の捜査をリベラに依頼。
その一方で、バレーラはアドリアーノ青年の両親に
「息子さんは麻薬とアルコールの影響で自殺されました」と告げるのですが、
納得できない両親は
「当局は事件の解明を妨げようとしている」と人権擁護局に訴えます。


人権擁護局は捜査を開始。
そしてサンサルバドル市内のとあるビルに
「内務省長官の名誉顧問で警察に属するサカリアス」という人物がいるのを突き止めます。
でも、このビルは警察とは何の関係もなく、サカリアスも警官ではなく。
確かに警察の犯罪捜査局と同じような役目を担っていたものの、
警察ではない、別の組織であったことが確認されます。


ビラノバ事件そのものは「同僚ら5人がアドリアーノ青年に暴行を加えて殺害した」という
とある警官の目撃証言により、解決します。
この警官は「自分の見たことをサカリアスにも伝えたが、黙っているように言われた」とも証言。


人権擁護局はこのサカリアスなる人物がビクトル・リベラであることを突き止め、
非合法な犯罪捜査局の存在を明らにした上、
リベラが「犯罪の糾明を妨げようとした」として告訴、
リベラには逮捕命令が出されます。


でも当のリベラは、一足早くグアテマラへと逃げ出していたのでした。


ここからはいささか余談です。
ダビッソンという名前を覚えていらっしゃる方はいらっしゃるでしょうか。
2007年2月19日にエルサルバドルの中米議会議員3人と運転手が
グアテマラで殺されるという事件
が起こっておりますが、
この時亡くなった中米議会議員の1人が
ロベルト・ダビッソンの息子、エドゥアルド・ダビッソンでした。


この日がロベルト・ダビッソンの死後ちょうど15周年を迎えようとしていた日であったのは、
単なる偶然だったのでしょうか。


この項、まだ続きます。


参考にさせて頂いたサイト




[ 2008/04/11 23:29 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

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