声なき者の声-ロメロ大司教のこと 

声なき者の声(La voz de los sin voz)、と呼ばれた人がかつてエルサルバドルにいました。
サン・サルバドル大司教だったオスカル・アルヌルフォ・ロメロ (Oscar Arnulfo Romero)


70年代、冷戦を背景にアメリカは中米地域に過激な軍事援助を行っていました。
各国で軍部が権力を握り、一方でそれに対抗する勢力が生まれ、
グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドルで壮絶な内戦が勃発してゆきます。


エルサルバドルで権力を握ったのがロベルト・ダビッソン少佐。(Roberto d'Aubuisson)。
殺人部隊を率いたとされるダビッソンは、敵対する人々を次々と暗殺していきます。


そんな時代に、軍の(ひいてはアメリカの)横暴に堂々と立ち向かったのがロメロ大司教でした。
アメリカに軍事援助を中止するよう要請し、
兵士らには兄弟姉妹である農民を殺害するようなまねはするなと、懇々と呼びかけた、
1980年3月23日のこの説教は「火の説教(Homilia de fuego)」と呼ばれる有名なものです。


おもしろくないのがダビッソン。
1980年3月24日、ミサを捧げていたロメロ大司教を(それもミサの一番大事な瞬間に)
スナイパーの銃弾が捕らえます。
ダビッソンが首謀者と見られるこの殺人事件を引き金に
エルサルバドルでは本格的な内戦が勃発。


この内戦は、大統領への野望を抱きながら、かなわないまま
1992年2月20日にダビッソンが舌癌で死亡してやっと終息を迎えるのです。


このロメロ大司教、エルサルバドル人からこよなく愛されている人です。
数年前から「殉教者」として福者の称号を与えるための列福調査が行われていました。
(注:生前及び「死後」の功績が認められて、カトリック教会で正式に崇敬の対象とすること。
 尊者、福者と聖人の3つのランクがある)

没後25周年に当たる今年、どうやら調査が終わり、福者ロメロが誕生しそうだという話です。


教皇ヨハネ・パウロ二世が亡くなられたニュースに隠れ、
復活祭後に行われた没後25周年の行事は余り大きくは取り扱われなかったものの、
殺されることを覚悟の上で言うべきことを言い続け、
政府(軍)でも左翼ゲリラでもなく民衆と共にあったロメロ大司教のことは、
ささやかでもここに書きとどめておきたいと思うのです。



[ 2005/04/06 18:01 ] エルサルバドル | TB(0) | CM(0)

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