サトウキビ畑の子供達 6(完) 

6. 組合や統計の不在を指摘する大使館の報告書

2008年6月付の外交公電08GUATEMALA693は
プラサ・プーブリカがサトウキビ畑で見たことを裏付けている。
公電では、出来高払いのサトウキビ収穫の労働制度は
「強制労働と児童搾取」
と呼ばれている。
「法的条件を満たした状態では人間的に実現不可能な、過剰な割当を雇用側が規定」
する制度なのである。


ジェームズ・ダーハン(訳注:当時の米国大使)の署名があるこの報告には
「砂糖産業は否定しているが、児童労働は幅広く存在している」
と書かれている。
この米国大使館の公電には更に
「割当を達成できない労働者は解雇すると脅されるため、
 結果として重労働を強いられることになる」、
「そのため労働者は毎日12時間以上働き、能率向上のために薬物を使用するのが一般的となっている」
と記述されている。


フラメンコ農場の労働者もそれを認めている。
レオネル・エルナンデス(24)によれば「ビタミンB1と眠気覚ましの錠剤」なのだそうだ。
「体は薬物に慣れてしまってもっと欲しがるようになるけれど、薬でも使わないと4トンも刈収穫できないから」。


労働者の要求を封じる手段として砂糖農園が80年代に使った手段は
政府の治安部隊と協力して行った選択的暴力であったが、
21世紀最初の10年に行われている労働搾取は2つのメカニズムを使うことで可能となっている。


一つ目は基準を守らない納入業者からサトウキビを購入すること。
二つ目は「既存の法規をすりぬけることを可能とする幅広い汚職の存在」である。
アメリカ大使館の2009年10月の公電09GUATEMALA1102はこのデリケートな指摘を確認し、
前年の報告を補填する内容となっている。
経営者による労働法侵害が何の処罰もされないまま常態化しており、
不十分なだけではなく不正行為が多発する監査システムと労働省は軽視され、
司法制度は常に経営者に有利だと公電は糾弾している。
そして最後は
「労働者は自分たちの権利を行使しようとすらしない。
 それをすれば仕事を失うことを理解しているからだ」
と結ばれている。


7. 狭い出口

この不法かつ時代遅れな行為の連鎖から逃れるのは容易ではないように思われる。
小学校に行かない子供達がより良い職業を見つけるのは困難である。
グアテマラはアメリカ大陸諸国の中でも教育に関する指標は最低である。
国連開発計画の人間開発報告書は、この地域の就学年数平均が7.78年であるのに対し、
グアテマラは4.14年に過ぎないと記している。
児童労働や一人当たり所得についても同様の傾向が見られる。
教育に関する指標はこの地域で最低の結果となっている。


別の仕事につく可能性についてペドロ・ルイス・O(15)に尋ねてみた。
「町で仕事するなら読み書きができないと」と
彼は恥ずかしそうに、あまり希望のない現実的な返答をしてくれた。
ペドロ本人は知らないところでデータを裏付けてくれたのだ。


ケネディ(13)が仕事の中で一番好きなのはサトウキビの一片をマチェテでむいて、
店頭で売られている紙にくるまれたキャンディーであるかのように噛り付くことだ。
「ここだとタダだし。キャンディーみたいにお金払わなくてもいいんだよ。
 これから砂糖を作るっていうけれど、実際に見たことはない」。


そういう無邪気さを既に失った彼のおじバシリオ・オルテガ(38)は諦めたように言った。
「働けるのはいいことだ、仕事がなければ金も食べるものもない」。
そう口の中でもごもごと話した。


他方、クシエクはこのレポートや「個人的、経営的」な理由により、
サトウキビを製糖所に卸すのは止めて、砂糖業者に農場を貸すことに決めたと宣言した。


Asazguaはクシエクに懲罰を課すこともなければ、サトウキビの購入を止めることもない。
事実関係の調査さえしないだろう。
もちろんそれはAsazguaの仕事ではなく、一義的には政府の仕事なのである。

(完)


[ 2012/02/27 23:23 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

サトウキビ畑の子供達 5 

5. 対立する見解


グアテマラでは法が守られていないとか人類学的問題だとかいうのとは別に、
誰と話すか、どこから情報を取るかによって、相反する世界観が現れる。


38歳のウルバノ・オルテガは、外見からは60歳にしか見えない。
オルテガはサトウキビの刈り取りを行う労働者グループのリーダーで、
労働条件について法律でどう決められていたとしても、改善することは難しいことを理解している。
「時々、皆でこの山に集まって、農場主と話をします。もちろん丁寧に話しますよ、
 そしてもう少し賃金を上げてもらえないかと頼むんです。
 だけど全然ダメですね。3年前から少しも上がっていません」。


リベラやオルテガが話している低賃金は、
彼らが全く与り知らないところにある資料でも確認することができる。
国連開発計画が作成している人間開発報告書によると、
2011年のグアテマラの人口一人当たり国内総生産は
前年並みを維持するどころか$567に減少している。


他のサトウキビ労働者がそうであるようにオルテガも、
砂糖農場には行動を起こすどころか、
せめて労働環境の改善を交渉することができるような組合が存在していないことを知っている。
組合はなくなってしまった。
Asazguaのデータによれば、
グアテマラにはサトウキビの収穫を行う労働者が33,000人、
砂糖産業に従事する労働者が65.000人いることになっている。
しかし組合に加入している労働者は1人もいない。この事実には様々な側面がある。


ピネダにとってはこういうことだ。
「組合を認めていないわけではありません。
 そうではなく、必要じゃないということです。
 労働者と経営者の間には信頼関係が築かれており、
 それを失うようなことは誰もしたがらないからです」。
彼女は、実際のところ、
平均すると法定最低賃金の規定に64%上増しされた金額を支払っていると言っている。
その証拠として出してきたデータはあまりにも独りよがりのデータであり、
どちらかと言えばどんぶり勘定的なものであった。
「労働者の98%が満足していると言っている」
「労働者の86%は次の収穫時期に同じ砂糖農場に戻って来る」。
こんなとんでもない数字を出してくるのは北朝鮮やアフリカの独裁国家で行われる住民投票ぐらいである。


そこで、それではどうして農場に新聞記者の立ち入りを認めないのかと尋ねてみた。
ピネダは「このケースについてはわかりませんが、
多分、外部の人間が労働者をたきつけないようにしているんじゃありませんか」と回答した。


国連の歴史究明委員会(CEH)は、
コスタスールの砂糖関連産業でサトウキビの収穫を行う労働者らを内部からたきつけようとした結果、
その結果として組合が消滅してしまったという経緯があることを示している。


1980年3月、国内すべての砂糖農場を7万人の労働者が占拠し労働条件の改善を要求、これを勝ち取った。
当時の要求勢力がどれくらいの力を持っていたかというと、
例えば、この地域で最大のパンタレオン砂糖農場は
サトウキビの収穫を行う労働者の50%が組合員であった。
これがわずか3年後の1983年3月、農場の組合幹部5人の内3人が誘拐され、未だに行方不明のままである。
いずれもゲリラと関係があるとされていた人物である。
1984年、組合と何らかの関係があった労働者は全員解雇された。


1980年の大規模ストから1984年初めの組合解体までの3年間に、
コスタスールにあった砂糖関連の砂糖農場23の組合はすっかり消滅してしまった。
CEHはその報告書で「パンタレオン農場の組合幹部や顧問は、
国の治安部隊あるいはその共犯として活動した何者かに捕らえられ、
その後失踪したものと推測される。(…)
この結論は経営者側が治安部隊と関係があったとされること、
(…)組合幹部が何人も殺害されたことなども含めて、
組合活動を解体するという国の方針に協力していたことを裏付けている。



[ 2012/02/22 23:18 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

サトウキビ畑の子供達 4 

4. 人類学的問題


児童労働が存在しているのには、
学校が休みであるとか子供が親を手伝っているとかいうだけではなく、
それよりもはるかに複雑な事情がある。


言葉や文書で示した意思とは裏腹に、Asazguaの実際の出来事への対応は遅いようだ。
シルビア・ピネダは、まず最初に近代の歴史を理解すべきだという。
「80年代初めに契約の形式を変えなければなりませんでした。
 法改正があったためなのですが、人類学的見地からの調整もありました。
 当時は子供が働くことで経済的利益があるという考え方から脱却した頃でした」。


1994年、製糖所では未成年の子供を連れた労働者をこれ以上受け入れないと宣言し始めた。
「当時のグアテマラがまだ和平合意の調印すら行っていなかったことを考えてみてください。
 私達は時間的に余裕をもって告知を行い、
 2000年には児童労働ゼロキャンペーンを組織として進めました」。
10年経っても完全実施には至らないポリシーであり、
製糖所は今でも子供達が収穫したサトウキビを受け取っているのである。


ピネダによれば
「子供連れだと仕事ができなくなると通告した時、
 労働権の侵害だとしてサトウキビに火をつけるとか、
 仕事をしないとか脅して圧力をかけたのはサトウキビの収穫を行う労働者の方でした」とのことである。
Asazguaのこの回答は、
クシエクに農場での児童労働の問題を解決しようとしたことがあったのか、
それについて何かトラブルはあったかと尋ねた時の回答と細部まで一致している。


「農場は、例えば事故なんかで、火災が発生しやすい場所ですから」とクシエクは言った。
「いえ、事故で起こるのではなく放火です」とカバエーロスは訂正した。
マッチを持った子供がイタズラをしてサトウキビに火をつける可能性があり、
市街地からわずか100mという距離の農場では非常に危険なことであると彼女は説明した。


念のために、子供を働かせないようにしたら
子供や親が収穫を台無しにする可能性があると言っているのかと確認してみた。
カバエーロスはそうであるということをほのめかした。
サトウキビ畑で火災が起こると焼けたサトウキビを拾い集めるという余計な作業が発生する。
「収穫の前に火事を起こして、
 もっと多くの労働者を雇わせるようにするわけです」と農場主がまとめた。


クシエクの説明はピネダの話と一致している。


農場主の説明に出てくる「人類学的問題」によれば、彼らは被害者である。
経営者には児童労働を止めさせる意思があるにもかかわらず、
労働者らが自ら子供を働かせるように仕向けている張本人であると言っているのだ。



[ 2012/02/19 22:51 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

サトウキビ畑の子供達 3 

3. 国内の農産業の基準


グアテマラは砂糖の輸出量では世界第4位であり、
関連産業-Asazguaに加盟する13の製糖所-は国内でも最も収益の高いものである。
それだけではない。
ラテンアメリカ地域で最も安価な砂糖を供給しているにも係わらず、
国連のラテンアメリカ経済委員会(CEPAL)のデータによれば、
グアテマラの砂糖産業は
ラテンアメリカ及びカリブのあらゆる国の中でも最も収益の高い産業なのである。


早い話が止まることを知らない成長産業なのだ。
グアテマラ・サトウキビに関する調査及び能力開発センターは、
生産量はこの20年間で238%増、
昨年の収益は9.9%増とのデータを出している。
加えて、砂糖の国際価格が上昇しているため、
この業界の外貨収入は国全体の14%を占めており、
前年比で倍増となっていることもこの業界自身のデータが示している。


例えば1キンタル当たりの価格が2008年1月の$11から2010年には$28となり、
2008年には$378百万であった輸出額が$726百万となっている。
このような状況下でも国内の砂糖の価格は1年で2倍に上がっている。
この輸出額の中から砂糖財団に割かれているのはわずかに$4.5百万に過ぎないと
プラサ・プーブリカのコラムの中でパブロ・フランキーが書いている。


砂糖業界の成長や利益は、様々な生産過程に携わった人たちには還元されない。
農業システムの土台の部分での労使関係は
-誰がそれを発展させているのかという点において代表的なケースでは-
過去に止まったままである。
Asazguaは、13の製糖所に直接雇用されているサトウキビの収穫を行う労働者33,000人については、
最低賃金プラス生産量に応じた手当が支払われていると言っている。
月額にすれば3,500ケツァルである。
加えて寝起きする部屋も食事もあるという。
Asazguaによれば、製糖業者とサトウキビ生産農家は違うのだそうである。
サトウキビ生産農家はサトウキビを生産し、製糖業者はサトウキビを精製する。
製糖所の外で起きていることはサトウキビ生産農家の話であり、
そこでは手当がないのみならず、賃金も半分程度かもしれないという。


砂糖の輸出業者は付加価値税(IVA)を免除されており、
控除が可能な所得税(ISR)のみが課される。
サトウキビの収穫の期間、収穫をする労働者には6ヶ月間IGSS(社会保障庁)の保険料も負担している。
国内の13の製糖所からなる組織であるAsazguaの責任者は、
児童労働に関する法規や社会保障への加入義務が守られていないケースがあることを認識しており、
それを否定はしない。
「それはサトウキビ生産農家の話であって、製糖業者のことではありません。
 農家はAsazguaのメンバーではなくて、納入業者です」。
かくしてボールは蹴りだされ、話題は溝にはまった。


マリア・シルビア・ピネダは製糖業者の企業社会責任部のディレクターである。
「システマチックになってしまった部分もあると認識しています。
 言い訳するわけではありませんが、グアテマラのみではなく、
 世界の多くの場所で行われていることでもあります。
 良いことではありませんが、存在しているというのは事実です。
 そしてグアテマラの砂糖産業は児童労働とは「一切関係ない」としているが、
クシエクの農場での出来事のようなケースについてはコメントを控えた。
「Asazguaでは、書かれたような事実について児童労働とか判断することはしません。(略)
 このリポートにあるようなケースを告発するのは私達の役目ではありません。
 私達は告発を行う立場にはありませんが、
 そのようなことが起きないよう、啓蒙活動を進めることはお約束します」。


農業会議所会頭からのサトウキビの購入はやめないのかという質問については
「しない」との回答であった。
「Asazguaは製糖所と農家の間の関係を尊重します。
 原材料を納入する生産農家に対する製糖業界のポリシーは、
 インセンティブを与えることであって、罰則ではありません。
 良い点に対し与えられる利益を生産農家に示し、
 知識、行動、実戦において姿勢を変えるよう促しています」。
なお、ピネダによればクシエクのような生産農家から納入されている量は
全体の5%に過ぎないということである。
ピネダの定義にも係わらず、
Asazguaとサトウキビ生産農家はまったく別の存在というわけではない。
どちらも農業会議所のメンバーである。
サトウキビを製糖所に納入しているオットー・クシエクその人こそが農業会議所の会頭なのである。


グローバル・コンパクトは、国連主導で進められている企業社会責任についての提案である。
世界基準では、生産業者と納入業者は区別されることがない。
「特定の産業に必要な原材料を提供する業者が、
 守るべき基準を長い期間にわたって遵守していない可能性が出てきた場合、
 その産業は市民としての義務及び法務面において、深刻なダメージを被ったものと見なされる」。



[ 2012/02/17 00:23 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

サトウキビ畑の子供達 2 

2. オットー・クシエクの話

当紙(プラサ・プーブリカ)はサトウキビ畑の労働者達の芸術的写真を撮らせてもらうため、
クシエクの私有地に許可なく入った。
農場のオーナーが誰なのか、その時は知らなかった。
中に入って子供達が働いているのを見つけたのであった。
この記事を書いているリポーターの1人と
カメラマンのロドリゴ・アブドの2人が農場主がその場で話し合い、
首都のオフィスで改めて正式なインタビューを行うことになった。


農場の共同経営者であるクシエクは、
首都の10区にあるビルの農業会議所のオフィスにプラサ・プーブリカを迎えてくれた。
私達のために時間を空けてくれており、
農場で見た労働の実態に関するあまり愉快でない話題にも最低限の回答をしてくれる用意はあった。
会議所のディレクターであるカルラ・カバエーロスが同席した。


農業会議所会頭は自分は法を遵守しようとする人間だと定義した。
「農場で見たとおっしゃる子供達の年齢は知りません。
いずれにしても、今は学校は休みですしね。
子供達のいた場所の向かいに学校があったでしょう。
あの子達は労働者ではなくて、両親と一緒にいる子供達です。
子供達は両親を手伝っているわけです(略)。
私は悪人ではありませんし、年少者の労働に賛成しているわけでもありません。
ですが仕事の機会が限られている場所では、社会的・人類学的文脈に左右されるものです」。


農場主はまた
「マラソンのごとく過酷な労働時間ですとか
能力以上の要求とか言われる習慣は止めるべきでしょう。
作業員は自分が決めた時間に仕事を終えることができるわけですから。
あなたが見たのは11時でしたよね、4時間で仕事を終えてたわけじゃないですか」とも言った。
しかし午後5時になっても、働いている人達がいた。
収穫してトラックに運んだ量に応じて支払うという出来高払いだからである。
しかし収穫量が増えれば増えるほど仕事は増え、
一方で寝る場所さえ保証されていないのである。
1トンあたり20ケツァルという賃金で最低賃金を稼ごうと思えば、
1日当たり3トン以上を収穫しなければならない。
農場主にとって作業員が6トンの収穫をするのは半ば常識である。
作業員は2トンや3トン以上は非人間的であると言う。


そこから少し離れたところにあるサン・ルイス農場では、
収穫に当たる作業員は1トン当たり35ケツァル稼ぐという。
Asazgua(*グアテマラ製糖業協会)の基準では、
製糖工場では最低賃金を基本とし、
生産量に応じて手当を支給することになっている。


労働者への最低賃金、社会保障、手当といったものの不備については、
クシエクは「請負いの責任」だと一蹴した。
つまり、農場に作業員を連れてくる手配師に責任があるというのだ。


フラメンコ農場に話を戻そう。
人生に疑問を抱きながらサトウキビの収穫作業をするホセ・アントニオ・デ・レオンは、
言葉数少ないながらも、
手配師の下で仕事をしている仲間達について悲観的な見解を示してくれた。
「ずっとそうだったわけじゃないか。
 誰かが手配師にマージンを取るなと言うだろう。
 すると、もう仕事が来なくなるんだ」。
デ・レオンは69歳である。
もう仕事を辞めたいが、辞めることができないと言う。
彼には手続きのための書類があまりにも難しいからだ。
「子供の頃から父とここで働いてきた。
 もう休んでもいい年になるのを待ってるところだ。
 60歳を過ぎると、もうくたびれて働き続けられないからね」。


サトウキビの収穫をする作業員者達には定年が守られていないというだけではない。
5本のマチェテを背中に担いだルイス・アロルド・バリオス(28)によれば、
保健面でも不備があるという。
「オーナーは医療費を払ってくれたりなんかしない。
 誰かがケガした時に、保健所に連れていってもらえれば運がいい方。
 ケンカなんかしている暇もないね、仕事しなきゃ食べられないんだから」。


定年を過ぎた人が農場で働いている可能性についてクシエクに尋ねてみたところ、
「IGSSからも(年金を)もらいながら、
 同時に働き続けることにしたんじゃないですか」との返答であった。
社会保障についてプラサ・プーブリカが農場で調べた労働者のリストをめくりながら
当社が算出した見積もりを示してクシエクに尋ねたところ、
クシエクは逆にしようとの提案をしてきた。


レポートに出てくる人たちのリストと
IGSSに登録されている労働者のリストが同じかどうか比較するとどうなるのですか?と尋ねてみた。


「いいですか、ウチの雇用者はIGSSに入ってますよ、
 でもこの仕事は請負いにやってもらっているんで、
 (IGSSに入っていない人がいる)可能性はありますね」。


「農業会議所がしょっちゅう自分達の権利を侵害するなと要求している一方で、
 その会頭が自分の農場で子供を働かせ、
 労働者をIGSSに加入させていないというのはどういうことなのでしょう?」と更に質問を続けてみた。


ここでカルラ・カバエーロスが話に割って入った。
「私達は個人やそれぞれの企業に強制することはできません。
 もし会議所の誰かが法を守っていないというのであれば、
 私達は法を尊重する立場にあるとお答えします。
 誰もが守るようにする義務を負うのは国です。
 私達は会議所のメンバーに法を遵守するようにと告知する、
 そのために必要なプログラムを推進しないといけませんね」。


(続く)


[ 2012/02/13 23:36 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

サトウキビ畑の子供達 1 

1月にネットメディアに「グアテマラの砂糖にまつわる児童労働と労働搾取」(スペイン語)という記事が掲載され
結構な反響を呼んでいたようなのですが、
当時バタバタと忙しかった私はすっかり見落としておりました。


それが最近になってGlobal Voiceに取り上げられ、
一部ではありますが日本語訳されたものを見つけました。
そこから逆にオリジナルのPlaza Públicaに掲載されたものを読んだわけですが、
いささかセンチメンタルで、論点がぼやけている嫌いはあるし、
児童労働は何もサトウキビ畑に限ったことではないとは思うものの
同時に看過できないテーマでもあり。


せめて、この力の入った記事の全文をここに和訳して残しておこうと思います。
かなり長い文章なので、何度かに分けて掲載になりますが。


原文のタイトルはTrabajo infantil y explotación laboral en el azúcar de Guatemala
「azúcar de Guatemala(アスーカル・デ・グアテマラ)」って
大手砂糖業者さんのCMで使われているキャッチコピーでもあるんですよね。
宮古島でサトウキビ刈りをやってみたやのすけさんの体験談と比べると
クラクラしそうな内容ですが、とりあえず。





1. 農場での記録

頭には帽子を被り、背中に小さなリュックを背負っている。
汚れた顔は絵の具で遊んでいたかのようでもあり、
ちょっと見たところ、ケネディ(12)は学校から帰ってくる途中のようである。
顔を合わせる誰にも彼にも笑顔を向ける。
どこにでもいる子供と変わらない。
唯一違うのは、地面に突き刺した腰まで届くマチェテに寄りかかっていることであろう。
これを見ればケネディが何をしているのかが明らかである。


ケネディは学校から帰ってきたのではない。
11歳の時からサトウキビ畑で働いている。
「1人で2列刈り取れるよ」と誇らしげに語る。
ケネディの腕はマチェテを持ち上げる作業のために固く筋肉質であり、
もう子供というよりは一人前のサトウキビ労働者-正確にはサトウキビ児童労働者―である。
もちろんこれは労働法、児童保護法、国際労働機関による2つの条約、
グアテマラが批准した自由貿易協定のいずれにも反するものである。


この農場で働く子供はケネディだけではない。
見かけただけでも10~13歳の子供達6人が、
私たちの会話に耳を傾けたり笑ったりしていた。
内気そうではあったが、
宿題が終わるやいなや外に駆け出す前に手に持っている物で遊ぶ子供達と同じように、
手に持っているマチェテで遊んでいた。


ケネディと一緒に作業をする大人も子供も、
フラメンコ農場のサトウキビ刈り作業に携わっている。
前世紀にはコーヒー、現在はサトウキビの輸出が盛んであることから、
「世界の首都」と地元の人たちが呼ぶレタルレウ市の市街地から
わずか100m程のところにこの農場は位置している。
サンタ・マリア火山とサンティアギート火山の麓から始まる高温多湿な平地が太平洋まで続く、
国内でも有数の肥沃な土地である。
この農場を訪れる前日はサン・ルイス農場にいたのだが、ここでも状況は同じだった。
14歳にもならない子供達が何人も働いていたのである。


砂糖に係わる児童労働は、法の適用を受けることのないまま、
長年にわたり広範囲に行われてきた現実である。
この地域を訪れる誰もが目にする光景である。
誰も隠そうともしない。
街道からですら見ることができる。


ケネディが働いているフラメンコ農場は、オットー・クシエク所有のものである。
クシエクはサトウキビを生産し、ピラール製糖工場に売っている。
この工場はグアテマラ製糖業協会(Asazgua)の13のメンバーの一つである。


クシエクはただの農場経営者ではない。
2010年、農場経営者や農家を代表する圧力団体である
農業会議所(Camagro)の会頭に就任している。
会議所の上級ディレクターであるカルラ・カバエーロスによれば、
Camagroはグアテマラの農家の「私有地を守るため」に誕生したのだそうだ。
50年代、ハコボ・アルベンスが進めた農地改革に反対するために、
Camagroの前身であるグアテマラ農家協会(AGA)が誕生した。
現在は、農業セクターの政治的調整機関として機能している。


国内法は年少者の労働について「軽作業」であることを条件に例外を認めている。
もちろんそれには保護者と労働省の少年保護局の許可が必要である。


2008年、労働省は14歳未満の少年にはいかなる場合も労働許可を発行しないと宣言し、
現在もあらゆる種類の児童労働は禁止であると述べている。
ケネディが14歳で労働契約書にサインすることが認められたとしても、
サトウキビをマチェテで刈り取り運搬する作業を毎日12時間以上行い、
1トンあたりいくらの収入を得るのは「軽作業」というには程遠いというのみではなく、
その肉体的過酷さからすれば
特に国際協定で禁止されている「最悪の児童労働」の一例として挙げることができるであろう。


しかし、法律による禁止や、当局による禁止は、
14歳未満の少年が労働を行っていないという意味ではない。
法治国家のあるべき姿と現実の間には巨大な溝がある。
グアテマラにおける児童労働の割合はアメリカ大陸では一番高くなっている。
「生活状況アンケート」の2006年版-現在入手できる公式データの中では最新のもの-には、
グアテマラでは5歳から14歳の少年52.8万人が働いていると記載されている。
労働省が自分達の仕事を果たそうとこの報告書のデータに向き合うならば、
やるべきことは山ほどある。


エドガル・リベラ(30)は、エルビス(13)とジョルディ(12)を連れて仕事から帰った。
エドガルにとって、最悪なのは子供達が働くことではない。
それとはもっと違うことである。
エドガルは子供達に勉強をさせたいが、させてやることができない。
子供達が働かなければ、
家族がいくばくかの尊厳を持って暮らせるだけの日給に届かないからだ。
「サトウキビ1トンにつき20ケツァルの給料だからね。
 子供達が2人で1日1トン、自分は調子のいい日で2トン、無茶苦茶働いて3トンかな」。
その日は3人で60ケツァル、米貨にして7.5ドルの収入であった。
グアテマラが定める農業従事者の一人当たり法定最低賃金は2011年は1日63ケツァル、
2012年は68ケツァルと定められている。


オスカル・シゲンサ(50)は、ほとんどフリホール豆しか食べていないと話す。
「牛肉1ポンドが20ケツァル、骨付き肉でも14ケツァル。とても買えんさ。
 子どもが5人と、よそにこさえた子が2人いるんでね。
 食べ物は大変なんだよ。
 今日は2トンやって40ケツァルの稼ぎ。7人に肉2ポンドいるんだよ、計算してみてよ」。


フアン・ホセ・デ・ラ・クルスは県外から来ている。
ずっと、各地の農場のサトウキビの収穫を手伝っている。
「13歳の時にサトウキビ刈りを始めたんだ。
 今は51だ。
 何年働いてたか計算してみてくれよ、ワシにはよくわからんから」。
サント・ドミンゴ・スチテペケスの出身で、
彼のように出稼ぎでやって来る人たちはその都度20日間休みなしの契約なのだそうだ。
「手配師がラジオで求人出して、農場に連れてくるんだよ。
 20人いる。皆、農場の小屋に寝泊りしてる」。


この出稼ぎ労働者達は牛肉を食べている。
毎日であるが、食事は有料である。
この状況はグアテマラが独立して輸出国となった200年前と何ら変わっていないように見える。
農場主らはその当時から土地を所有しており、
労働者を所有しており、
労働者が農場で消費するものを所有していた。
デ・ラ・クルスはそれを21世紀に生きている。
「手配師の稼ぎは1トン当たり25ケツァルで、ワシらは20ケツァル。
そこから食事代として手配師に1日15ケツァルを払う。
食事は毎日フリホール豆が2食、肉が1食。
家に金を持って帰ろうと思ったら、1日最低2トンは刈らないと」。


労働者やアメリカ大使館によれば、
彼らは30度を下回ることは稀な炎天下で20日間休みなく、
12時間から14時間にわたって毎日サトウキビを刈り続け、
手元に残るのは500から600ケツァルだという。




[ 2012/02/09 23:58 ] ニュース | TB(0) | CM(0)

空腹ゼロ計画 

新政権の目玉の一つに貧困対策もあったりするのですが、
そのために社会開発省というのが新設されまして、
今日の官報で公布されたそうですから、明日発足。


前政権が実施していた貧困対策プログラムは
各省庁に割り当てられたお金を適当にかき集め、
その後どのように使われていたかがさっぱりわからない状態で
批判が集まっていましたから、新政権のやり方は良いかな、と。


省を新設すると、当然人件費や管理費なども余計に発生するという問題はあるものの
どこにお金が流れているのかさっぱりわからないのではさすがにマズイでしょ。
というわけで、誕生後一ヶ月未満で
貧困対策をきっちりやるという姿勢を見せている新政権は評価できるかな、と思っています。


もっとも、もう一つの目玉であった治安対策は、
今のところ目ぼしい効果を挙げていないようですけれどね。


さて、その貧困対策の一つとして力を入れようとしているのが
乳幼児を中心とした子供達の栄養失調。
ラテンアメリカを対象として見た時、グアテマラの貧困率はそれほど高くはないのですが、
栄養失調になると、かなり数字が悪くなります。
(と言いつつ、その数字を引っ張ってくるだけの余裕が今ちょっとないのですが)
旱魃の年など、栄養失調で亡くなる子もいたりするのですが、
その痩せ細り方は本当に酷い。


お金のあるところには超大量にうなっている一方、
本当にお金も食べる物すらもない家庭もまた多々あるグアテマラ。
貧困家庭が山地を中心とした先住民地域に多い(先住民だけ、ではないですよ、もちろん)ことも
他のいろいろな要素と絡み合って、
グアテマラの民族感情やら対立やらを根深くしている要因だと思うわけですが、それは置いておいて。


そうして政府が発表したのが「空腹ゼロ」計画。
主食であるトルティーヤを中心に、栄養素を添付したものを配布したり、
保険衛生面からのサポートを強化することで
子供の栄養失調をなくそうというものらしいです。
(そんなお金、どこから出すんだろう、という気はするのですが、
 貧困対策・栄養失調対策だと国際機関や諸外国からの援助も得やすいだろうから・・・)


今朝の新聞には国内の166自治体では栄養失調の割合が高いと書かれていましたが、
これ、グアテマラの自治体数(確か)334のほぼ半分。
ちょっと気が遠くなるような数字ですが、
せめて飢えて亡くなる子供達だけはこれ以上出ることのないようになって欲しいと願っています。


以下、私のメモ書きとして栄養失調率の高い自治体80のリストを新聞より抜書きしておきます。

自治体 %
1 サン・フアン・アティタン ウエウエテナンゴ 91.4
2 サンティアゴ・チマルテナンゴ ウエウエテナンゴ 82.1
3 コンセプシォン・トゥトゥアパ サン・マルコス 80.9
4 サン・ミゲル・アカタン ウエウエテナンゴ 80.9
5 サン・マテオ・イシュタタン ウエウエテナンゴ 79.7
6 サン・ラファエル・ラ・インデペンデンシア ウエウエテナンゴ 79.2
7 ネバフ キチェー 78.3
8 コミタンシーヨ サン・マルコス 77.7
9 チャフル キチェー 76.7
10 サンタ・マリア・チキムラ トトニカパン 75.5
11 サンタ・カタリナ・イシュタウカン ソロラ 75.5
12 パツィテ キチェー 74.7
13 サン・ガスパル・イシュチル ウエウエテナンゴ 74.7
14 サン・フアン・コツァル キチェー 74.5
15 ナウアラ ソロラ 74.5
16 サンタ・エウラリア ウエウエテナンゴ 74.4
17 モモステナンゴ トトニカパン 74.1
18 ウイタン ケツァルテナンゴ 73.9
19 コロテナンゴ ウエウエテナンゴ 73.8
20 サンタ・アポロニア チマルテナンゴ 73.4
21 バリーヤス ウエウエテナンゴ 73.2
22 コンセプシォン ソロラ 73.0
23 ホコタン チキムラ 72.8
24 サン・ラファエル・ペツァル ウエウエテナンゴ 72.5
25 チチカステナンゴ キチェー 72.4
26 オロパ チキムラ 72.3
27 サン・セバスティアン・ウエウエテナンゴ ウエウエテナンゴ 72.2
28 クネン キチェー 72.1
29 サンタ・クルス・ラ・ラグーナ ソロラ 72.0
30 テクティタン ウエウエテナンゴ 71.8
31 サン・フアン・イシュコイ ウエウエテナンゴ 71.3
32 コンセプシォン・ウイスタ ウエウエテナンゴ 70.4
33 タマウ アルタ・ベラパス 70.4
34 カブリカン ケツァルテナンゴ 69.8
35 タフムルコ サン・マルコス 69.7
36 テクパン・グアテマラ チマルテナンゴ 69.2
37 シビナル サン・マルコス 69.2
38 サンタ・バルバラ ウエウエテナンゴ 69.2
39 サンタ・クルス・バランヤ チマルテナンゴ 68.9
40 サン・アンドレス・シェクル トトニカパン 68.9
41 ソロラ ソロラ 68.2
42 サン・パブロ・ラ・ラグーナ ソロラ 67.8
43 サンタ・ルシア・ラ・レフォルマ トトニカパン 67.8
44 カホラ ケツァルテナンゴ 67.8
45 サン・セバスティアン・コアタン ウエウエテナンゴ 67.5
46 トドス・サントス・クチュマタン ウエウエテナンゴ 67.4
47 サン・バルトロメー・ホコテナンゴ キチェー 67.0
48 チカマン キチェー 66.9
49 サン・フランシスコ・エル・アルト トトニカパン 66.9
50 チチェー キチェー 66.6
51 サン・バルトロ・アグアス・カリエンテス トトニカパン 66.6
52 サン・ペドロ・ネクタ ウエウエテナンゴ 66.5
53 イシュチグアン サン・マルコス 66.2
54 サン・ミゲル・ウスパンタン キチェー 65.4
55 トトニカパン トトニカパン 65.2
56 サン・フアン・コマラパ チマルテナンゴ 65.1
57 サン・フアン・ラ・ラグーナ ソロラ 64.8
58 サカプーラス キチェー 64.7
59 サン・マルティン・サカテペケス ケツァルテナンゴ 64.6
60 イシュタウアカン ウエウエテナンゴ 64.1
61 サン・クリストバル・ベラパス アルタ・ベラパス 63.8
62 サン・ミゲル・シギラ ケツァルテナンゴ 63.7
63 アグアカタン ウエウエテナンゴ 63.7
64 サン・ペドロ・ホコピーラス キチェー 63.6
65 カモタン チキムラ 63.5
66 サン・ホセ・チャカヤ ソロラ 63.3
67 タカナ サン・マルコス 63.2
68 サン・アントニオ・イロテナンゴ キチェー 63.0
69 プルラー アルタ・ベラパス 62.9
70 コンセプシォン・チキリチャパ ケツァルテナンゴ 62.6
71 サン・クリストバル・トトニカパン トトニカパン 62.5
72 タクティク アルタ・ベラパス 61.9
73 パツン チマルテナンゴ 61.7
74 シパカパ サン・マルコス 61.6
75 サン・ミゲル・イシュタウアカン サン・マルコス 61.5
76 パレスティナ・デ・ロス・アルトス ケツァルテナンゴ 61.5
77 サン・ホセ・ポアキル チマルテナンゴ 60.9
78 サン・ホセ・オヘテナム サン・マルコス 60.9
79 ランキン アルタ・ベラパス 60.5
80 サン・ペドロ・ソロマ ウエウエテナンゴ 60.2




[ 2012/02/07 23:37 ] ニュース | TB(0) | CM(0)