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調停 

先週、目の疲労から来ると思われる頭痛が続いていたのですが、
昨日になってひどい肩こりに加えノドまで痛い。
やだなぁ、風邪気味かしらん?と思っていたら、
今朝は今朝とて目が覚めてみたら文字通り首が回らない。
金銭的のみならず肉体的にまで首が回らなくなるなんて、と
人生の無常をしみじみと感じていた・・・わけではなくて、
そんな程度のことでぶーぶー言ってられるのは案外幸せかも。と思ってみたりしています。


グアテマラのコロン大統領はホンジュラス情勢にはあまり手を突っ込みたくないようで、
ホンジュラス情勢については最近は表立った発言すらしていないように思います。
一方で亡命希望者は受け入れる、なんて気前のいいことを言っていて、
そんな安請け合いしない方がいいと思うけれどなぁ、
それこそ政治難民よりも経済難民が押し寄せるから。
グアテマラは、ホンジュラスよりはまだいくらか経済マシではありますが、
ひょっとして、こういう人たちにも例の毎月Q300を渡して、
ついでに参政権までおまけにつけて差し上げようというんじゃないだろうか。
疑心暗鬼疑心暗鬼・・・・・・。


日曜日にホンジュラスに戻れなくて、
「ベネズエラなんかに頼っていたのが間違いだ!
 アメリカだったらきっとうまく行くぞっ!」
とヒラリー詣でのためにまたワシントンに戻ったセラヤさん。
7日午後に予定されていたこの会談、
当初の意向ではテグシガルパ入りするために
アメリカ空軍の支援を依頼するつもりであったと伝えられています。


また、アメリカはオバマ大統領がクーデターを非難する声明を出しながら、
一方で今回の件には積極的に係わろうとせず、
ベネズエラを中心とするALBA(米州ボリーバル代替構想)諸国と米州機構に
イニシアティブを譲っていた(握られていた?)ような印象もあり、
アメリカの態度をはっきりさせるという目的もあったものと思われます。


ところが、今日の朝、ミチェレッティ側から
ノーベル平和賞受賞者でコスタリカ大統領のオスカル・アリアスに
セラヤとの対話の調停を申し入れたという話が伝わってきました。
アリアスは「セラヤがこれを受け入れるなら」と応じ、
午後にセラヤと会談した後、ヒラリーさんが
「アリアス大統領の調停により両者が話し合いを行うこととなった」
と正式に発表。
きっとアメリカが裏から手を回したんだろうな、と思うわけですが
先手を越されたセラヤは応じないわけにはいかないですよね。
アメリカはミチェレッティを支持するわけではないが、
セラヤの方も支持しかねる、っていう意味かしらんと私は解釈しました。


それにしても、ノーベル平和賞受賞者に目をつけた人はさすが。
受章の理由が中米地域の内戦停止への合意の道筋をつけたというのなら、
そりゃあ尚更もってこい。
ってワケで引っ張り出されました、アリアスさん。
米州機構の某事務総長みたいに両者の言い分だけ聞いて
「はい、ダメでした。じゃ!」ってことにはならんでしょう、この人なら。
うまく行けば、もう一つ賞がもらえるかも。


ミチェレッティは「セラヤは帰国するなら裁判所に出廷しなければならない」
とあくまでも憲法侵害により大統領を更迭されたという姿勢を崩していませんが
一方で最高裁は「この危機を乗り越えるためには政治的恩赦が必要ではないか」と発言しており、
どうも誰かの書いたシナリオ臭がプンプンします。


まあでも、これだとセラヤは大統領の任期を満了できなくなっちゃいますよね、
それじゃあセラヤにとっては帰国できることだけしか得られるものがないわけで・・・。
ダメじゃん。
私の頭じゃ、この程度が限度だ・・・。





やはりホンジュラス関係の話なのですが、
ホンジュラス在住のコスタリカ人(妻がホンジュラス人)という方のメールが
転送に転送を経て私のところまでやってきました。
6月30日付のこのメールの語るところをかいつまんで紹介してみる・・・前に
メル・セラヤは自由党から立候補して当選した人で、
自由党と言うからにはリベラルを標榜する大統領になるはずだったけれど
チャベスやコレア(エクアドル大統領)の影響を受けて社会主義に転向、
転向したんだけれどまだ籍は自由党だよ、って言う人だということを書いておきます。
現在の暫定大統領ミチェレティも同じく自由党。
言ってみればコップの中のクーデター???
ちなみにホンジュラスは大統領の再任を憲法で禁じております。


さて、そのメールによりますと、
大統領就任後からセラヤは左寄りであり「市民の力」と言うプロジェクト
(グアテマラの「社会連帯」プログラムと同様かな?)を進め、
社会の格差や貧者への福祉の改善の必要性を地方で説いていたとか。


2008年12月、セラヤは閣議決定で最低賃金を60%引き上げることを決定。
しかしそれだけの人件費を賄う政府予算がなかったために公務員への賃金が支払えず、
大学の教授らはスト入り、これは4ヶ月続いたとか。
民間でも失業者が増加、こうして社会が不安定になっていった。
(ここで失業するのは中産階級を中心とした層ですよね。セラヤ支持じゃない人たちとも言える)


さて、セラヤは今度は制憲議会を招集することを思いつきます。
憲法を改正するならば、憲法改正のための手続きがあるけれど、
セラヤ的には「そんなもん、役に立つか!」なんだそうで。
これが今回の危機の火種となっていくわけなのですが・・・。


で、今年の11月に行われる大統領選挙で
「制憲議会を招集するか否か」を問う「第4の投票箱(Cuarta Urna)」を設置することを決めたんだとか。
ただし、セラヤは憲法をどう改正するのかについては明言しなかったため
大統領再選を狙っているのではないか、という憶測が飛び交うことになります。


最高選挙裁判所は「第4の投票箱」についてはどんな法にも規定されておらず
違法であると通告。


するとセラヤ側は「第4の投票箱の設置に関する国民投票を実施する」と閣議決定。
これについては裁判所及び国会が「その国民投票も違法」と判断するものの、
セラヤは「第4の投票箱は誰にも止められない」と強行するわけです。
この国民投票については、行政が実施し行政が開票するシステムだったこと、
投票用紙がベネズエラで印刷されたこと、
投票所がいつまでたっても明らかにされないこと、など
不審な点が多々あり、人権擁護局までもが政府に実施を思いとどまるよう要請したのでした。


ところがセラヤは国軍に投票用紙の運送を命令、
参謀総長は「違法行為はできない」と返答してセラヤに更迭され、
海軍と空軍の参謀総長も「同様に違法な命令には従えない」と辞意を表明。
しかし、「軍のトップはそんなに簡単に更迭できないんだ」と指摘されて
セラヤは更迭を取り消さざるを得なくなるのですが、セラヤは
「いや、実のところ、更迭なんかしてないよ、だってサインしなかったんだもん」
と言ったそうですが、テレビで更迭をアナウンスしていたのは周知のところ。


そうして今度は空港にある基地の倉庫から投票用紙を取り出し、
自らの手で国民投票の準備を始めたのでありました。


元大統領ら、元閣僚ら、憲法学者、カトリックにプロテスタントの教会、その他多くの人が
それは憲法違反だから思いとどまるべきと忠告したにも係わらず
自分は国民によって選ばれた大統領だからやっていいんだ、と主張。
国会は大統領の適格性を審査するための委員会を立ち上げるに至ります。


こうして迎えた6月28日。国民投票が予定されていた日であり、
クーデターが起きた日だったのでありました。


そういうわけで、この方によれば国軍はヒーローだと。
(国軍の取った行動は憲法の条文に則ったものだとする意見もあり、
 この辺りをどう評価するかでクーデターかそうじゃないか、の意見の分かれ目になってるようです)


セラヤの言葉だけを聞いて判断しないでくれ。
地元のラジオを聴いてほしい。反対する立場の声も聞いてくれ。
そう国際社会に訴えてこのメールは終わります。


気持ちの上では多いに同意できるのですが、
やっぱり100%それでいいとは言い切れないのが辛いところ。


セラヤの行動は私の理解の範疇を超えていて、
解任されるのは仕方がないと思うのですが、
こんな形の解任劇では不幸になるのはホンジュラス国民ばかりなわけで。


どんな政権であっても、すべての国民を満足させることは不可能なわけで
その中でどうバランスを取って舵取りをしていくのか、
それを判断するのが大統領に必要な資質なのだと思います。


アリアスが持ち前のバランス感覚を生かして調停を成立させることができるのか。
と言うか、不調になちゃったら一体どうなっちゃうんだろう。
それが余りにも心配なので、調停の成立をひたすら願う私なのであったりします。



[ 2009/07/07 23:46 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(2)