アルベンスとセラヤ 

ホンジュラス情勢はその後大した進展もなく、
ミチェレッティ政権は諸外国の思惑など気にせず不惑を貫くらしいし、
さ迷えるセラヤの方はあいかわらずラテンアメリカを流浪の旅。
案外いいご身分だよなぁ~、という気がするのは多分私の気のせいなんでしょうが
最近はセラヤも積極的に戻ろうという気を見せていないのは
案外その流浪生活が身にあっているからなのではないかしら。


とまあそんな話はどうでもいいんですが、
今朝の新聞のコラムに「アルベンスからセラヤへ」と題した
ちょっとおもしろい記事があったので紹介してみます。


このコラムも別の記事を引用しておりまして
元記事はニコラス・コスロフ(Nikolas Kosloff)という人物によるもの。
この方、どうやらアメリカ(北・中・南)の政治ウォッチャーか
政治評論家か、どうやらそういう類の方の模様。
名前からすれば、ロシア方面なのかもしれません。


当地のプレンサ・リブレ紙に書いているのはマルガリータ・カレーラ。
記事はこちらです。



解説を入れながらかいつまんでみるとこんな話になりますか。


ハコボ・アルベンスは1951年にグアテマラ大統領に就任、
軍人出身でありながら共産党系のグアテマラ労働党党員となり、
アメリカ大陸の左傾化に神経を尖らせていたアメリカの介入によるクーデターで
1954年6月27日に失脚、亡命先のメキシコで1971年に亡くなっています。


アルベンスが行った政策の中でも有名なものが農地改革。
大土地所有者の土地を接収し、土地を持たない農民に与えようというもの。
ところが当時(今も?)はユナイテッド・フルーツ・カンパニー(UFC)が
グアテマラ国内、特にイサバル県を中心に大規模な土地を持っており、
この法律が施行されると大打撃を受ける結果となったのは火を見るよりも明らか。


そんなわけでこのUFC、アメリカ議会を動かし、大統領にも働きかけ、
アルベンス失脚のための工作を行うのです。
ここまでが過去の歴史のおさらい。


さて、コスロフはこのアルベンスとセラヤの共通点に着目します。
どちらも右寄りと思われていた人物だったのに
急激に左旋回して行ったこと、
どちらもアメリカのバナナ会社との軋轢を抱えていたこと。


アルベンスがUFCならセラヤはチキータ。
とは言え、実はこれ、どちらも同じ会社のことでして、
1969年、UFCはパパ・ブッシュと縁のある会社に買い取られ、
名前をチキータに改めたんだとか。


でそのチキータ、ホンジュラスにもやはり大規模な土地を有しております。
ホンジュラスの面積は112千平方キロだそうですが、
チキータがそこに抱える土地は2,630平方キロ。
国土の2.3%がチキータのもの、という計算になります。


日本に置き換えてみれば8,690平方キロ。
都道府県に置き換えてみると、広島県の面積が8,477平方キロ(全国で第11位)なんだそうで、
広島県まるまるが私企業の持ち物になっている、ってことか。そりゃすごい。


ちなみにホンジュラスのカリブ海側にはジャングル地帯も大きく広がっており、
耕作に適した土地というのは実はかなり少ないのだそうです。
その耕作適地の1/4がチキータの土地。いやそれ、マジですか?
そりやもちろん、雇用もしてくれれば輸出も担ってくれるわけではありますが、
耕す土地のない農民が続出してもおかしくない・・・。
そこでセラヤはその土地を取り上げることを目論んだらしい。


またセラヤは最低賃金を引き上げており、
これもチキータの不興を買ったとか。


またチキータに対しては労働者に過酷な勤務を強いているとか
労働者が殺されたとか、
いろいろと穏やかならない噂もあったらしい。


ただし、チキータはもちろんホンジュラス国内に多々影響を持っているわけで、
今までのところはそういう噂もうやむやになっているようですけれどもね。


さて。
私はセラヤの政策がどうだったという話についてはチンプンカンプンです。
農地改革にしても法律ができているわけではないようですし、
やるとすれば再選後に、ってな話だったんじゃないでしょうか。


最低賃金なんて、物価が上昇する以上程度の差こそあれ
毎年上がるのはアタリマエ。
新しく手当てがついたとかそういう話ならともかく、
これくらいの人気取り政策は、セラヤならずともやっていたはず。


そういうわけで、アルベンスとセラヤを並べるのはおもしろいけれど
この二人を同列に並べちゃちとまずいでしょ、という気がいたします。


アルベンスについては、現在ではその先鋭さを評価されているわけですが
時代の流れを読みきれず、急進的に走りすぎてクーデターを招き、
やがてはそれが内戦の誘因ともなった、ということを考えるなら、
為政者としては不適格だったのだと私は思います。


セラヤについても、許された法律の範疇でやるべきことを
その範囲を大きくはみ出し、政敵に付入る隙を与え、
国民を混乱に巻き込んでしまうなど、
一国の元首としてあるまじき行為だと思うのです。


「大統領失格/時代を読み間違えた大統領たち」てな風にまとめるのなら
それもアリかな、と。
いやそれでもアルベンスとセラヤを並べるのは止めてほしいと思う私は
サッカーができそうなくらい広い、アルベンスの額が好きなんですが。


さてその一方で、ホンジュラスに対して沈黙を守り続けるアメリカ。
チキータが絡んでいるという話がどこまで本当なのか良くわかりませんが
こういう見方もあるのだなぁ、と面白く読んだのでありました。



[ 2009/08/20 23:51 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(0)

民主化時代のクーデター 

まだ首が回らないmonjablancaです。
頭と体が同じ方向を向く、ロボットのような動作で凌いでいますが、
車を運転していて左右を確認するのが辛っ・・・。


さて、今日書くのはほとんどすべて私の妄想であります。
ホンジュラス情勢を見ながら思ったことなので、
事実ではないところもあるでしょうが、その点はご容赦。


このホンジュラス危機、セラヤがコスタリカに追放されて
「クーデターだっ!」と世間が騒ぎ始めた時、
先陣を切るようにセラヤ支持と新政権への攻撃的な姿勢を示したのは
ベネズエラのウーゴ・チャベスでした。


チャベスとしては、包囲網を固め、
石油もストップして脅してやれば相手は腰砕けになる・・・と読んでいたのか。
米州機構も国連も、こぞってホンジュラスの暫定政権を非難、
米州機構の臨時総会ではホンジュラスの加盟資格停止が採択され、
ここまでは思惑通り。


セラヤはベネズエラが出した政府専用機でワシントン入りしたものらしく、
南米からはクリスティーナ・フェルナンデス大統領(アルゼンチン)、
フェルナンド・ルーゴ大統領(パラグアイ)、
ラファエル・コレア大統領(エクアドル)といった
チャベスの子分たちが同じ飛行機で出席しています。
ちなみに元首で出席したのはこの人たちだけのような気が。
チャベスはもちろん影で糸を引く役割なので
こんな総会になんぞ出席してられるかぁ!という次第です。


ここでセラヤは国際社会の支持を得られ、意気揚々と帰国することを宣言。
もちろんベネズエラの飛行機で行くわけですが、
同乗のフェルナンデス&ルーゴ&コレアに加えて
米州機構のインスルサまでサンサルバドルで途中下車。いや、途中降機。
テグシガルパに向ったのはセラヤと
国連の第63回総会議長を務めるニカラグア人のミゲル・デスコトだったとか。
デスコトは前回のオルテガ政権で閣僚入りしており
やはりチャベスのシンパと見なされる人。


こうして意気軒昂とテグシに向ったものの、
滑走路を塞がれて着陸できなかったわけですが、
この後飛行機はニカラグアに向かい、
オルテガ大統領夫妻とセラヤが会った後、
再度サンサルバドルへ向かったのでありました。
まあサンサルバドルでピックアップしないといけない人もいましたからね。


ホンジュラスの政変が起こるまでがこの物語のプロローグとすれば
事件発生後ここまでが第一幕。
第一幕には常にベネズエラの影が見え隠れしており、
一番の存在感と力を見せているのがチャベスです。





さて第二幕。ここからは妄想の世界になりますのでご注意。
サンサルバドルでしょんぼりしているセラヤの元に1本の電話がかかってくるのであります。

「メル?ちょっといいかしら」

「ちょっとって、失礼だな。誰だね君は」

「あたし、ヒラリーだけれど」

「ヒラリーって、初恋の人はマリリンだったけれど、どのヒラリーかな」

「クリントンのヒラリーだってば」

などというつまらない会話から始まるこの電話で、
ヒラリーはセラヤにワシントンに来るよう言うのであります。
「ワシだって捨てた者じゃないわい♪」
と嬉しくなったセラヤはヒゲを磨いて大喜びで翌日ワシントン入り。


でも実はここにあったのがアメリカの深謀遠慮。
表面的にはセラヤを支持するとしていたアメリカですが、
セラヤと言えば「親ベネズエラ=反米」、という公式に当てはまるわけで
アメリカ的には本当は嬉しくない。


表面的にはセラヤを立てながらセラヤの毒を抜く。
この役割を担ったのがヒラリーさん、てなわけで。


「会いたかったわ、メルぅ~」
「俺もだ。ほら、俺のトレードマークのカウボーイハットを土産に持ってきた」
「やっと二人っきりで話ができるわね」
「そこの通訳を追い出すわけにはいかんのかな」
「そんなことしたら話が出来なくなっちゃうわ」
というシュールな会話の中でいきなりヒラリーが切り出すのです。


「この前、オスカル(アリアス大統領)がアナタのことをほめていたわ。
 こんな理不尽な目にあっても、ユーモアを忘れない、って」

「あ、あはは、それが俺のトリエやさかい。
 (ワシ、いつもマジメやったんにジョークと思っとったんかいな、あの狸親父!)」

「彼、アナタがこのクーデターをうまく収めて
 ホンジュラスに平和をもたらすことができたら
 アナタをノーベル平和賞に推薦しようと思っている、って言っていたわ」

「え、それって、マジ・・・?(何ワケのわからんことを言うとるんやあの狸ぃ~!!)」

「そう、だから私も思い切ってオスカルにお願いしてみたの。
 メルとあのミチェレッティの間を取り持ってもらえないかしら、って。」

「そ、そんな馬鹿な(あのミチェレッティのクソったれと誰が話なんかするもんかい)」

「そしたら、心良く引き受けてもらえちゃって。
 だから、アタシ、思い切ってミチェレッティにも電話してみたのよね」

「え、ええええ゛~(そんな余計なことを)」

「まさかとは思ったんだけれど、ミチェレッティ、
 アタシからの電話がよっぽど嬉しかったらしくって
 『ヒラリーさんのためなら喜んで出席させて頂きます』だって」

「むあああ゛~~(ミチェレッティ、覚えとれっ!!)」

「だからアナタもきっと良い返事を聞かせて下さるわよね。ねっ(はあと)」


というわけでセラヤも怪談のような会談に応じざるを得なくなったのでした。


アメリカが手を出す目的はもちろん、
ベネズエラに傾いた流れを引き寄せるためであり、
ベネズエラ寄りだったセラヤをチャベスから引き離すためなのであります。


だとすればセラヤとミチェレッティの会談での落としどころは
  • セラヤはホンジュラスに帰国し、大統領に復職する
  • セラヤは憲法改正を断念する。すなわちセラヤの再選はありえない。
  • セラヤの憲法違反、ミチェレッティ側のクーデターについては不問にする。
    てか、最高裁がさっさと恩赦を出す。
というところに設定されているはず。


ミチェレッティ側への根回しはもう済んでいるでしょう。


問題はセラヤをどう説得するか。
アリアスと言えば、今のラテンアメリカの元首の中ではリベラルな人。
ノーベル平和賞受賞者であり、
第42代コスタリカ大統領であり、現在は第47代コスタリカ大統領。
えーーーっと、早い話が再選された大統領であったりします。


実はコスタリカも大統領の再選は憲法で禁じられていたのですが、
アリアスは早い時期から再選を目論んで工作を進め、
これを強引に押し通して再選されています。
メルにとっては尊敬すべき先輩というわけですかね・・・。


それはともかく、アリアスは左寄りではないし、
「ホンジュラス国民のために」ということであれば
アメリカが仕組んだシナリオ通りに動いてくれるでしょう。
中米のことは中米域内で解決させる、南米はちょっと引っ込んでろ。
何しろアリアスと来たら
ノーベル平和賞に加えてシュバイツァー人権賞も持っていて実績は抜群、
調停をうまくまとめたら国連の人権賞だよ、とニンジンをチラつかせておけば準備は万端。
おまけに調停が不調に終わったとしてもアメリカは傷つかない。


アリアス宅で皆缶詰になって会談が行われるという話ですから
いざとなればヒラリーでもビル(オバマじゃなくて)でも、
電話で説得することだって辞さないでしょう。


こうしてアメリカの影がつきまとう第2幕は
セラヤの復職で終わるのであります。





復職した後がエピローグ。
セラヤはなんとか任期を満了し、余生(え?)を過ごすのであります。
一方ワシントンではこんな会話が。

「ヒラリー、ホンジュラスのオペレーションは大成功だったね」

「ええ、まさかこんなにうまくいくとは思ってませんでしたわ」

「軍にセラヤを追放するよう命令した人物の追求はどうなっているのかね」

「もちろん、そこのところはぬかりなく」

「じゃあ刑事告発される心配はないということだな」

「ええ、彼は本当にいい仕事をしてくれましたわ」

「現地政府に潜り込むことに成功した腕利きの工作員だって話だからな」

「お陰で中米の左旋回が防げたわけですからCIAには感謝しないと」


というわけで、これはアメリカの陰謀による民主化時代のクーデターだったのでした。


捻りすぎか、いくらなんでも・・・・・・。
夜更かししてまで書くような内容じゃなかったかもな。寝よ・・・。


[ 2009/07/09 01:39 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(0)

調停 

先週、目の疲労から来ると思われる頭痛が続いていたのですが、
昨日になってひどい肩こりに加えノドまで痛い。
やだなぁ、風邪気味かしらん?と思っていたら、
今朝は今朝とて目が覚めてみたら文字通り首が回らない。
金銭的のみならず肉体的にまで首が回らなくなるなんて、と
人生の無常をしみじみと感じていた・・・わけではなくて、
そんな程度のことでぶーぶー言ってられるのは案外幸せかも。と思ってみたりしています。


グアテマラのコロン大統領はホンジュラス情勢にはあまり手を突っ込みたくないようで、
ホンジュラス情勢については最近は表立った発言すらしていないように思います。
一方で亡命希望者は受け入れる、なんて気前のいいことを言っていて、
そんな安請け合いしない方がいいと思うけれどなぁ、
それこそ政治難民よりも経済難民が押し寄せるから。
グアテマラは、ホンジュラスよりはまだいくらか経済マシではありますが、
ひょっとして、こういう人たちにも例の毎月Q300を渡して、
ついでに参政権までおまけにつけて差し上げようというんじゃないだろうか。
疑心暗鬼疑心暗鬼・・・・・・。


日曜日にホンジュラスに戻れなくて、
「ベネズエラなんかに頼っていたのが間違いだ!
 アメリカだったらきっとうまく行くぞっ!」
とヒラリー詣でのためにまたワシントンに戻ったセラヤさん。
7日午後に予定されていたこの会談、
当初の意向ではテグシガルパ入りするために
アメリカ空軍の支援を依頼するつもりであったと伝えられています。


また、アメリカはオバマ大統領がクーデターを非難する声明を出しながら、
一方で今回の件には積極的に係わろうとせず、
ベネズエラを中心とするALBA(米州ボリーバル代替構想)諸国と米州機構に
イニシアティブを譲っていた(握られていた?)ような印象もあり、
アメリカの態度をはっきりさせるという目的もあったものと思われます。


ところが、今日の朝、ミチェレッティ側から
ノーベル平和賞受賞者でコスタリカ大統領のオスカル・アリアスに
セラヤとの対話の調停を申し入れたという話が伝わってきました。
アリアスは「セラヤがこれを受け入れるなら」と応じ、
午後にセラヤと会談した後、ヒラリーさんが
「アリアス大統領の調停により両者が話し合いを行うこととなった」
と正式に発表。
きっとアメリカが裏から手を回したんだろうな、と思うわけですが
先手を越されたセラヤは応じないわけにはいかないですよね。
アメリカはミチェレッティを支持するわけではないが、
セラヤの方も支持しかねる、っていう意味かしらんと私は解釈しました。


それにしても、ノーベル平和賞受賞者に目をつけた人はさすが。
受章の理由が中米地域の内戦停止への合意の道筋をつけたというのなら、
そりゃあ尚更もってこい。
ってワケで引っ張り出されました、アリアスさん。
米州機構の某事務総長みたいに両者の言い分だけ聞いて
「はい、ダメでした。じゃ!」ってことにはならんでしょう、この人なら。
うまく行けば、もう一つ賞がもらえるかも。


ミチェレッティは「セラヤは帰国するなら裁判所に出廷しなければならない」
とあくまでも憲法侵害により大統領を更迭されたという姿勢を崩していませんが
一方で最高裁は「この危機を乗り越えるためには政治的恩赦が必要ではないか」と発言しており、
どうも誰かの書いたシナリオ臭がプンプンします。


まあでも、これだとセラヤは大統領の任期を満了できなくなっちゃいますよね、
それじゃあセラヤにとっては帰国できることだけしか得られるものがないわけで・・・。
ダメじゃん。
私の頭じゃ、この程度が限度だ・・・。





やはりホンジュラス関係の話なのですが、
ホンジュラス在住のコスタリカ人(妻がホンジュラス人)という方のメールが
転送に転送を経て私のところまでやってきました。
6月30日付のこのメールの語るところをかいつまんで紹介してみる・・・前に
メル・セラヤは自由党から立候補して当選した人で、
自由党と言うからにはリベラルを標榜する大統領になるはずだったけれど
チャベスやコレア(エクアドル大統領)の影響を受けて社会主義に転向、
転向したんだけれどまだ籍は自由党だよ、って言う人だということを書いておきます。
現在の暫定大統領ミチェレティも同じく自由党。
言ってみればコップの中のクーデター???
ちなみにホンジュラスは大統領の再任を憲法で禁じております。


さて、そのメールによりますと、
大統領就任後からセラヤは左寄りであり「市民の力」と言うプロジェクト
(グアテマラの「社会連帯」プログラムと同様かな?)を進め、
社会の格差や貧者への福祉の改善の必要性を地方で説いていたとか。


2008年12月、セラヤは閣議決定で最低賃金を60%引き上げることを決定。
しかしそれだけの人件費を賄う政府予算がなかったために公務員への賃金が支払えず、
大学の教授らはスト入り、これは4ヶ月続いたとか。
民間でも失業者が増加、こうして社会が不安定になっていった。
(ここで失業するのは中産階級を中心とした層ですよね。セラヤ支持じゃない人たちとも言える)


さて、セラヤは今度は制憲議会を招集することを思いつきます。
憲法を改正するならば、憲法改正のための手続きがあるけれど、
セラヤ的には「そんなもん、役に立つか!」なんだそうで。
これが今回の危機の火種となっていくわけなのですが・・・。


で、今年の11月に行われる大統領選挙で
「制憲議会を招集するか否か」を問う「第4の投票箱(Cuarta Urna)」を設置することを決めたんだとか。
ただし、セラヤは憲法をどう改正するのかについては明言しなかったため
大統領再選を狙っているのではないか、という憶測が飛び交うことになります。


最高選挙裁判所は「第4の投票箱」についてはどんな法にも規定されておらず
違法であると通告。


するとセラヤ側は「第4の投票箱の設置に関する国民投票を実施する」と閣議決定。
これについては裁判所及び国会が「その国民投票も違法」と判断するものの、
セラヤは「第4の投票箱は誰にも止められない」と強行するわけです。
この国民投票については、行政が実施し行政が開票するシステムだったこと、
投票用紙がベネズエラで印刷されたこと、
投票所がいつまでたっても明らかにされないこと、など
不審な点が多々あり、人権擁護局までもが政府に実施を思いとどまるよう要請したのでした。


ところがセラヤは国軍に投票用紙の運送を命令、
参謀総長は「違法行為はできない」と返答してセラヤに更迭され、
海軍と空軍の参謀総長も「同様に違法な命令には従えない」と辞意を表明。
しかし、「軍のトップはそんなに簡単に更迭できないんだ」と指摘されて
セラヤは更迭を取り消さざるを得なくなるのですが、セラヤは
「いや、実のところ、更迭なんかしてないよ、だってサインしなかったんだもん」
と言ったそうですが、テレビで更迭をアナウンスしていたのは周知のところ。


そうして今度は空港にある基地の倉庫から投票用紙を取り出し、
自らの手で国民投票の準備を始めたのでありました。


元大統領ら、元閣僚ら、憲法学者、カトリックにプロテスタントの教会、その他多くの人が
それは憲法違反だから思いとどまるべきと忠告したにも係わらず
自分は国民によって選ばれた大統領だからやっていいんだ、と主張。
国会は大統領の適格性を審査するための委員会を立ち上げるに至ります。


こうして迎えた6月28日。国民投票が予定されていた日であり、
クーデターが起きた日だったのでありました。


そういうわけで、この方によれば国軍はヒーローだと。
(国軍の取った行動は憲法の条文に則ったものだとする意見もあり、
 この辺りをどう評価するかでクーデターかそうじゃないか、の意見の分かれ目になってるようです)


セラヤの言葉だけを聞いて判断しないでくれ。
地元のラジオを聴いてほしい。反対する立場の声も聞いてくれ。
そう国際社会に訴えてこのメールは終わります。


気持ちの上では多いに同意できるのですが、
やっぱり100%それでいいとは言い切れないのが辛いところ。


セラヤの行動は私の理解の範疇を超えていて、
解任されるのは仕方がないと思うのですが、
こんな形の解任劇では不幸になるのはホンジュラス国民ばかりなわけで。


どんな政権であっても、すべての国民を満足させることは不可能なわけで
その中でどうバランスを取って舵取りをしていくのか、
それを判断するのが大統領に必要な資質なのだと思います。


アリアスが持ち前のバランス感覚を生かして調停を成立させることができるのか。
と言うか、不調になちゃったら一体どうなっちゃうんだろう。
それが余りにも心配なので、調停の成立をひたすら願う私なのであったりします。



[ 2009/07/07 23:46 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(2)

セラヤ、明日帰国? 

明日7月5日、メル・セラヤが一週間ぶりにホンジュラスに帰国する予定と言われています。
ラテン諸国の大統領を数人従えて、トンコンティン空港に到着だとか。
昨日からセラヤの行方がわからないのでいろんな憶測が流れていますが、
今日はセラヤ自身がホンジュラスのラジオ局と話をしたとか。
さて、どこからだったんでしょう。


セラヤの身の安全が確保できない可能性があるので
明日の帰国がキャンセルされる可能性もあることはあるんですが、
現在のところはそういう話です。


今日はセラヤ支持派が集まって最大のデモ行進を行ったそうですが、
一方カトリック教会のロドリゲス枢機卿は
「今、セラヤが帰国すれば流血の事態となる可能性がある」
と帰国しないように要請しています。


米州機構は米州機構だし。
インスルサ事務総長の訪問は「話し合いをした」という
事実だけを残すためのものだったのかしらん。
新政府は米州機構の先手をうって「米州機構から脱退する」と宣言していますが、
インスルサによるとこの政府は認められていないので脱退はできないんだそうですが、
一方、セラヤが帰国するまでホンジュラスの権利を停止することはできるんだそうで、
ふーーーん、早い話がセラヤが帰らない限りは一緒ってことじゃん。


どっちにしても、米州機構なんて何の役にも立たないんだから、
別にどうってことはないような。
キューバだって今年追放が解除されたけれど、フィデルおじさんが
「あんなゴミためになんか復帰するもんかい」ってタンカ切ってたじゃあありませんか。


状況は一週間前よりももっと複雑になっているようで
首都以外の町はそれほど緊張感もないようですが、
兵糧攻めにあっているホンジュラス、
じわじわとその影響も出てくるのかもしれません。


ちと心配ではあります。


[ 2009/07/04 22:33 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(0)

経済危機と経済封鎖 

昨日から小僧の学校も後期が始まり、
またしても早起きの日々となってしまいましたが
まだ体がリズムに慣れていないので辛い・・・・・・。


ホンジュラス情勢は硬直したままですが
セラヤは帰ると言って帰らなかったり、
チャベスは攻撃すると言って仲間を募ってみたり、
ミチェレッティは選挙を前倒しにしようかな~、なんて発言してみたり。
情勢はいろいろと捻じれているように見えます。


今のところ新政府が譲歩しそうにないですし
国際社会も新政府に耳を貸そうともしない。
国際社会は国際社会で、孤立させてしまえば後はもうすんなり行く、
とでも思っていたのにアテがはずれてしまったのかも。


オバマさんの出方もどうも後手後手のようで
チャベスにいいようにしてやられる感がありあり。
まあ、アメリカとしてはベネズエラと張り合う気はないでしょうが。


どちらにしても、アメリカに「クーデターは許されない」なんて言われたくないよな。
過去中米で起こったクーデターのほとんどに
アメリカが係わっているんじゃありませんでしたっけかね?
ここら辺の政情が不安定になったのは誰のせいだったと思っているんだ、まったく・・・。


とか書いてたら、TwitterがCNNのアップデートを拾ってきました。
それによると、米州機構のホセ・ミゲル・インスルサが明日ホンジュラス入りして
解決の道を探る模様です。


この人、今までずっと「新政府と話し合うつもりはない」って言ってましたよね。
実際、この訪問も「新政府とネゴするのではなく、解決の道を求める」ものなんだそうです。
そうは言っても、早い話がどこに落としどころを持ってくるかを話し合うわけでしょう。
相手国に乗り込んで「セラヤを復職させろ」と言って解決するような話だったら
とっくの昔に解決してるってば。


私は知らなかったのですが、
米州機構は以前セラヤの憲法侵害を非難する決議を出していたんだそうです。
そういう流れからすれば、ある程度はセラヤ反対派の意も汲んでくれるのではないか、
少なくともセラヤの再選の道は閉ざされるのではないか、
そんな気がしています。
まあでもインスルサって、何か食えない人だからなぁ~。
どっちに転ぶのか良くわからないですけれど。


グアテマラはホンジュラスとの国境をまだ封鎖してるようですが、
グアテマラ側の方にも既に経済的損失が発生しているんだそうで、
この世界的な経済危機の折に経済封鎖って、
誰のためにもらないんじゃないの?ってそんな気がします。


あ、そ言えば、野党の某議員(マリアーノ・ラヨかな?)が
「コロン大統領はキューバへの経済制裁を非難していたのに
 ホンジュラスに対しては自分が実行する側になるのか」
となかなかうまく上げ足を取っていました。


他人を非難するのは簡単なんですけどね。



[ 2009/07/02 23:06 ] ホンジュラス | TB(0) | CM(0)