Cicigのカストレサナ辞任 

今日は先週の旅行の話でも・・・と思っていたのですが、
Cicigのカルロス・カストレサナが辞任したというニュースを追っかけていたら
カストレサナ自身がスキャンダルにまみれているという話が出てきて、
それを読んでいたらつい時間が経ってしまったのでありました。
というわけで、旅の話は置いておいて、こちらから。


要約しますとこんな感じ。
国連の「グアテマラの無処罰問題対策委員会」トップのカルロス・カストレサナが
国連事務総長に対して辞表を提出し、
受け入れられていたことが、本日いきなり突然発表されたのでありました。


タイミング的にも唐突な感じだったのですが、
カストレサナは
「政府などからのバックアップが得られなかった上、
 Cicigに対する攻撃もある。
 これ以上、グアテマラのためにできることは何もない」
と表明、さらに
「(先日就任したばかりの)検事総長コンラッド・レイエスはその任に値しない。
 麻薬組織と係わりのある弁護士事務所と取り決めをして 検事総長の任務を得た。
 更迭すべき人物である」
と激しい非難。
ただし、その非難に見合う証拠を挙げているわけではありません。


びっくりを通り越して唖然・・・とするような内容。
一体全体何があったんだろう・・・とゴソゴソ探していたら
出てきたのがカストレサナのスキャンダル。
唖然・・・を通り越したら何になるんでしょ?
天と地がひっくり返ったような・・・とでも書いておけばいいのかな。


そのスキャンダルをすっぱ抜いたのはマリオ・ダビッド・ガルシア。
Hablando Claro(アブランド・クラロ)というラジオ番組のプレゼンテーターをしてる人ですが
6月2日、私が雨の中を一生懸命運転していた頃、その番組中で
「カストレサナは秘書のジャマイカ人女性と愛人関係にある」
ことを暴露したのだとか。
(参照した記事はこちら。スペイン語です)


カストレサナはメキシコ人女性と結婚しており、子供もいるものの
有名な記者でもある妻と子供はメキシコ在住の単身赴任。
「他人にモラルを要求する人物が、家族やグアテマラ人を欺いている」
というのがガルシアの言い分。
ただしこちらも、確証を挙げているわけではありません。


もう一つ付け加えておけば、マリオ・ダビッド・ガルシアって
Cicigとカストレサナにはちょっと因縁のある人物だということ。


ロドリゴ・ローセンベルグの事件を覚えていらっしゃるでしょうか。
「あなたが今このビデオをご覧になっているとすれば、
 それは私が大統領に殺されたからです」
という内容のビデオを残して殺されたローセンベルグ。


そのビデオの撮影に協力したのがこのガルシアでした。


Cicigの捜査により、「ローセンベルグは自殺だった」という結論が出され、
それはそれでまたパカヤ火山が大噴火するような騒ぎだったわけですが
ローセンベルグの友人でもあったガルシアは、
決してこのような結論に納得していなかったはず。


だからカストレサナの身辺を嗅ぎまわったのだと思うし、
このスキャンダルに当たったのだとも思うわけです。


それがグアテマラにとって良かったのかどうかという話はまた別ですが・・・。


一方でカストレサナが嵌められた可能性も無きにしもあらず・・・と思うのは
ガルシアが番組で「カストレサナは大統領夫人の姪とも関係を持ったことがある」
と指摘しているから。
大統領夫人の周辺にまずいことありすぎるから
女に弱いカストレサナに一服盛って姪を送り込み、
カストレサナの弱みを握って、自分の周辺を嗅ぎまわられないようにする。
それくらいやりかねないからね、あの方・・・・・・。


カストレサナは頭の切れる人物ではありますが、
上から目線でグアテマラの内政に口を出しすぎることから
グアテマラ人にとっては鬱陶しい人物であったのもまた事実。
カストレサナの辞任を惜しむ声と喝采を上げる声が半々くらいですかね・・・。


そんなわけで何が何だか。
濃霧の中で狐につままれたような感じですが
結局事実関係はうやむやになっていくのだろうな、と。


カストレサナが指摘しているレイエスの不正についても
事実だという声もあるにはあるのですが、噂のレベル。
それを裏付けられるものがありません。


天災に続いてこのゴタゴタ。
益々混迷を続けるグアテマラなのでありました。


[ 2010/06/07 23:47 ] CICIG | TB(0) | CM(2)

Cicig vs MP 

ここのところ雨が良く降って、何だか気が滅入る。
雨季の後半のような、どこもかしこも水だらけ・・・という感じではないけれど
やっぱり雨が続くと鬱陶しいものですね。洗濯物も乾かないし。
まあでも6月は毎年こんなもので、逆に降らなきゃそれはそれで心配になるわけなのですが。


この一週間の出来事でちとばかしおもしろかったのはCICIG VS MP。
Cicigは度々出てきます国連の「グアテマラの無処罰問題対策委員会」で
MPというのは検察庁のこと。
Cicigにはもちろん独自の職員もいますが(元検事とか多々いたりするんですが)、
基本的にそれほど多くの職員を抱えているわけじゃないですから、
各事件の捜査については、MPと協力関係にあるはず。


さて、2008年4月に元内務省顧問であったビクトル・リベラが殺された事件がありました。
この事件の犯人は不明、事実関係も不明ながら、
当時の殺人局の責任者であったアルバロ・マトゥスが今年の3月に逮捕されたことは既報の通り。
マトゥスは現在保釈中の身で、その内公判に至るのだろうと思われるわけですが
この辺りの事実関係については以前の記事をご参照ください。


そして今度は今月の17日でしたか、相変わらず犯人は不明のままながら
当時の殺人局の検事補であったデニス・エレーラと
証人保護室の検事補ガブリエル・ロドリゲスが
捜査妨害と共謀容疑で逮捕され、Q15,000の保釈金を払って釈放されたのでした。


この二人を告発したのはCicigの特別検察局でして
エレーラについては事件後リベラの事務所を捜査した時に
解明に繋がるような証拠も見出せなければコンピュータの押収もしなかったこと、
ロドリゲスについては、リベラが殺された時に一緒に車に乗っていて負傷した
マリア・デル・ロサリオ・メルガルが、判事の前で証言する前に
国外に出国することを手助けした、というのが容疑。


そして18日には証人保護室の副室長レイラ・レムスと
同室の分析班の責任者ペドロ・パブロ・ヒロンも
同じ容疑で逮捕され、Q25,000の保釈金で釈放されています。
この4人はいずれもアルバロ・マトゥスと共謀したとされているわけですが、
どうでしょうねぇ、そういうのって、証拠を提示するのは難しいですよね、
命令した書類でも残っていない限り。


そして翌19日。
今度は検察局の職員らが、同僚らの逮捕をCicigに抗議してストライキ。
彼らの主張は「Cicigのせいで自分達の仕事が貶められ、辱められた」というもの。
事実関係はともかく、とりあえず気持ちはわかりますよね。
特に今回逮捕された4人については、マトゥスに命じられてやったのであれば
少なくとも「共謀」は厳しいでしょう。マトゥスは検事局の責任者だったわけだし。
こういうところで検事さんたちの反感を買うやり方をするCicigって一体・・・・・・。


もちろんMPが素晴らしい!なんてことを言うつもりは全くなくて
MPの内部には犯罪組織と繋がっている人物もいると言われているし、
その捜査能力については常に疑問符がつけられているわけですが、
一方、これだけたくさんの事件をあの人数じゃ無理だよねぇ、てのもありまして
MPに大幅に予算がついて、人員が増員され(なりたい人いないかも、だけれど)、
設備やラボラトリーも充実して(海外からの援助が頼りだったりするけれど)、
加えて検事さんたちの能力養成もしなければ(これはアメリカが頼りかも)、
どんなにCicigが頑張ったところで、にっちもさっちもいかないのは火を見るよりも明らか。


せめて、CicigとMPが協力して、こういう末端系の人じゃなくて
本当に犯罪組織に係わっているような、そういう人をまず
証拠を添えて摘発して頂きたい。
懸案中の事件を解決するとか、MP内で本当に汚職に係わっている人物を摘発するとか、
そういうことがない限りはCicigも評価しにくいんですよねぇ。
何たって、仕事をしている人たちというのは
同じようにMPで結果を出せなかった人たちが多々いるわけで。
ひょっとしたら、汚職分子だって混じっているかもしれないし。


頑張ってほしいんですけれどね、CicigもMPも。



[ 2009/06/21 23:59 ] CICIG | TB(0) | CM(0)

Cicig vs マトゥス その2 

実は、マトゥスが逮捕される辺りまでは、
この事件のこと、私は大して気にとめていませんでした。
判事や検事の不正行為なんて多々あるわけで、
それを一々気にしていても仕方がないですからね。


いや、それを堂々と言うのもどうかとは思うが・・・、
まあでもここは放置国家ですから!
という半ば諦めにも似た開き直りでもしてないと
やっていけないのですよ。ということにしておいて。


でもCicig代表であるカルロス・カストレサナにとっては
ありえない世界だったらしい。
わざわざマスコミの前に登場して
「(マトゥスが拘置されずに保釈されるなんて)司法を馬鹿にしている!
 グアテマラの恥だ!!!」
えーっと、頭から湯気が立ってますけれど、大丈夫?
血圧上がるよ、ここ、一応標高も高いしさ・・・。


また検察に対しても
「ウチは4つの容疑で告発するよう請求したはずだ。
 ところが蓋を開けてみたら、たった2つって、どういうことだ!
 ありえないだろ、ウチはちゃんとした証拠を渡しているんだ。
 検事総長には、どういうことなのか説明するようにと求めている」


で、その検事総長は
「もちろん、専門家としてCicigの用意した告発趣意書を念入りに調べた。
 しかし、だな、職権濫用と職務怠慢の他は、
 確固とした根拠がなかったってことだ。
 もし、確証があれば、ウチだってちゃんと告発していたよ、
 カストレサナ博士にはもう会って、ちゃんとそう説明したから」。

ここまで言い切るからには、結構自信がありそうです。
このベラスケスの発言以降は、カストレサナもこの事件については
目立った発言をしていません。
カストレサナの発言、いささか言いすぎの部分もあって
一部の人からは反感を買ってますから、
ひょっとしたら、さすがに反省したのかも。


その後はCicigも共同起訴人になって
裁判官忌避請求をしていたりするわけですが、
大きな動きはないまま、現在に至ります。
なお、マトゥスは無罪を主張。





さて、この事件、Cicigの事務所開後一年にして
やっと告発に至った最初の事件になります。


グアテマラの司法が腐敗しているのは
誰もが知っていることで(ですよね?)
私もマトゥスが不正に加担したのは事実だろうと思います。


ですが、今回のCicigのやり方はいささかまずいような気が。
グアテマラで犯罪者が処罰されないのは
判事や検事が金銭のために不正行為を行うからではなく、
不正行為を行わないことには自分や家族の生命が危うくなるから、
ではなかったでしょうか。


特にマトゥスのいた殺人局、
ここは誰もなりたがらないような検事局。
司法を志す人たちでさえもが敬遠するような仕事なのです。


リベラの暗殺事件は、それこそヤバイでしょう。
誘拐事件の捜査を担当していた人物が暗殺されたわけですから
背後には何らかの犯罪組織が存在していたのは間違いなく。
そんな事件の捜査を担当するってことは
真面目にやったらリベラの二の舞になるってことと同義語じゃあありませんか。


これは個人的な意見ですが、Cicigにはトカゲの尻尾切りじゃなくて
背後にいる組織の摘発をしてほしい。
マトゥスのような末端の人間を告発することで
仕事をしている、なんて言わないで欲しい。


マトゥスについては、告発するのではなく、抱き込むべきでしょう。
アメリカのように司法取引をし、
マトゥスを手がかりとして、司法に蔓延する不正と腐敗、
そしてその背後に潜む闇を摘発するきっかけにする。
そうであってほしいです。


マトゥスのような司法の前線にいる検事や判事だけをターゲットにするなら
やがてこの国からは検事も判事も存在しなくなるでしょう。
そうではなく、彼らが安心して法の正義を執行できる環境、
それを築いて欲しいです。


そういう意味で私はCicigに注目しているわけなのですが
今一つ、どういう方向を目指しているのかが良くわからないままです。
私がわかってないだけかもしれないですけれど。


そんなわけで、今後もCicig関連で大きな動きがありましたら
可能な限りお伝えしていきたい。
そう思っています。


一応。



[ 2009/03/05 22:53 ] CICIG | TB(0) | CM(0)

Cicig vs マトゥス その1 

元内務省顧問で、昨年4月7日に殺された
ビクトル・リベラの話を覚えていらっしゃるでしょうか。
ビクトル・リベラのこと - 暗殺


Cicigは事件発生後15日目くらいから
この事件の捜査に係わり始めたのだそうです。
もちろん、基本的にはグアテマラの検察局が事件の担当です。
初動捜査に当たったのは殺人局のアルバロ・マトゥス、
しかし後には(どの時点か、は今ちょっと把握できなかったのですが)
特捜局に担当が移されます。


そしてこの事件、当然のごとく、未だに真相解明から程遠い状況です。


それというのも、肝心な証拠が何故か紛失してしまっているから。
例えば、事件のあった通りに設置されていた交通警察のカメラに映っていた映像。
事件の現場付近にいた証人の証言。
事件現場に残されていた薬莢。
リベラの車の中にあったという捜査書類。


まだ他にもあるのですが、こう言った肝心なものが
ことごとく行方不明となっており
故意に事実解明を妨げている人物がいるのでは、
と誰もが勘ぐる事件となってしまったのでありました。


そこで活躍してくれるはずなのがCicig。
Cicigはアルバロ・マトゥスが捜査を妨げているとして
当時の検事総長であったフアン・ルイス・フロリドに
マトゥスを事件の捜査からはずして欲しいと要請したものの
フロリドは対応してくれなかったため、大統領に直訴。


コロンはフロリドと話し合いを持ち、
その後フロリドは辞表を提出します。
現在は、検事暦15年のアミルカル・ベラスケス検事総長となっています。


そして今年の1月、Cicigはアルバロ・マトゥスを
「職務怠慢」「職権濫用」「証拠隠滅」「共謀」で
告発するようにと証拠を揃えて検察に提出。


Cicigはこの告発に自信満々だったようですが、
検察は「職務怠慢」と「職権濫用」の2つのみについて告発を行い、
他の2つについては「確たる証拠がない」と告発を見送り。


マトゥスは逮捕されますが、
Q15,000(約$2,000)の保釈金を支払って保釈されます。


少し長くなりそうなので、今日はここまで。
続きはまた後日に。



[ 2009/03/04 23:59 ] CICIG | TB(0) | CM(0)

グアテマラにおける無処罰問題対策委員会 

友人から聞いた話です。


その友人のおじさんはタクシーの運転手をしていました。
人柄も良く、真面目に仕事に励む、優しい方だったそうです。


そのおじさんがある日突然殺されたとか。
平日の午前9時、客を7区まで送って行った後の出来事だったそうです。


事件の真相はわからないし、
この先、解明されることも恐らくないと思われます。
何も盗まれた物がなかったという事実から推測できるのは
おそらく、付近のパンディーヤ(ストリートギャング)に
通行税なるものをせびられ、
その支払いを拒んだために殺されたのではないかと。


むごい話です。


また、別のタクシー運転手さんは、
理由は不明ながらも執拗な脅迫を受け続け、
この国を後にすることを決めたのだそうです。
行く先はアメリカ。
グアテマラ人の男性には取得が困難な
アメリカのビザもちゃんと取れたと言いますから、
受け入れてくれる人があったのか、
それともアメリカが状況を汲んでくれたのか。
その辺りの事情は不明です。


先日ここに書きました、お父さんを殺されたという小僧のクラスメート。
彼は今では、ボディーガードに送られて登下校をしているそうです。


こんなの、普通じゃない。





グアテマラでは1日に十数人が殺されています。
昨年1年間に他殺されたとされる人の数は6338人だったそうです。
人口1300万人の国の6338人。
住民2000人につき1人が何らかの形で殺されていることになります。


一方、犯人が逮捕されているのはその内38%。
過去10年間の殺人事件に対し、
裁判で判決にまで到達したものはわずかに2%。


犯罪者が大手を振って歩ける国。
それがここ、グアテマラです。


なぜこうなるのか。
なぜ司法には犯人を逮捕し、処罰することができないのか。
それは司法を司る機関の中に不正が存在しているからではないのか。


そういう前提の元につくられたのがCICIG(シシッグ)。
国連とグアテマラ政府の合意の下につくられた機関で、
フルネームはComisión contra la Impunidad de Guatemala。
「グアテマラにおける無処罰問題対策委員会」と訳します。


2006年の合意締結後、2007年の準備期間を経て
2008年1月に正式発足。任期は2年。
委員会の責任者はスペイン人のカルロス・カストレサナ。
チリのアウグスト・ピノチェト訴追に係わったこともある人だそうです。


こんな機関を国際機関に作って頂かないとどうにもならないなんて
どうしようもないよな。ってのが正直なところ。
取りあえずCICIGは1年を経過しておりますが
今のところ思うような成果を出せないまま2年目に突入、
カストレサナは2年間の任期延長を希望しているようです。


実はこのCICIGのこと、
以前から書きたいと思っていたのですが
重いし、硬いし、どこから手をつけるかも難しくて
なかなか手をつけられずにいたのでした。


取りあえず書き出してみますが、また尻切れトンボになるのか
それとも地道に続けていけるのか。
よくわかりませんが、とりあえずもう1回くらいは続くはず。


多分。



[ 2009/03/02 22:28 ] CICIG | TB(0) | CM(0)